衝撃的だった又吉直樹の文才
森山:
今日このイベントで何を話そうかと考えていたら、又吉くんへの想いがどんどんあふれてきてしまって、気づいたらノート4ページ分ぐらい書いてしまっていた(笑)。
僕自身の話になりますが、もともと文芸編集者になりたかったんですけど、新卒のときに就職に失敗して出版社に入れなかったんです。そして印刷会社に入社して、大手出版社の純文学の部署の担当になった。毎日毎日、文芸の部署に営業というか、ただ挨拶をしに行くんですけど、だいたい冷たくされるんですよね。仕事もないのに忙しいときに挨拶に来られてもまぁ迷惑だったなと。僕は当時、とにかく仕事の空き時間には本を読んでいて、純文学を中心に真剣に文学と向き合っていた。だから「俺の方が絶対文学のことを考えている」と本気で思っていたんです。