「宣伝会議」12月号(11月1日発売)に、ニューヨーク視察研修ツアーのレポートを掲載します。視察から見えてきた米国広告ビジネスの今、そして日本の広告界がめざすべき方向性を5つのキーワードで捉えます。こちらも、ぜひご覧ください。
デジタルインテリジェンス ニューヨーク代表 榮枝洋文氏
9月27日~10月3日の7日間にわたって開催されたBusiness Creation Lab. 2015 in New Yorkは、デジタルインテリジェンス ニューヨーク代表の榮枝洋文氏によるセミナーで幕を開けました。世界の広告・マーケティング界の最先端を行き、新しい概念や手法が生みだされる場所、アメリカ。セミナーでは、この地で見聞きしたことを参加者がより深く理解し、自分自身の実務に落とし込んでいくために把握しておくべき「勘所」が共有されました。本稿では、そのポイントを5つにまとめて紹介します。

榮枝洋文氏によるレクチャーの様子。初日に行われたこのレクチャーで、翌日からの企業訪問に向け、米国広告界の最新潮流について知識のベースをつくった。
【ポイント1】米国広告業界の地殻変動
異業種の参入と、迎え撃つエージェンシーのデータ戦略
米国広告界は、大きな地殻変動の最中にある。Advertising Age発表の「Agency Report 2014」(図1)を見ると、いわゆる“老舗アドエージェンシー”は6位でBBDOがようやく現れ、以下8位にレオバーネット、12位にピュブリシス、13位にマッキャン、15位にJWT、16位にY&Rなどがランクインしている。
注目すべきは、2・3・5・7・10位。これらはすべて、コンサルティング会社がエージェンシーやデザインファームを買収して設立した企業だ。例えば2位のDeloitte Digitalは、デロイトコンサルティングが2011年に設立したデジタルエージェンシーであり、5位のSapientNitroはITサービス企業だったサピエントが広告会社のニトロを買収して設立したデジタルエージェンシーで、2014年にピュブリシス傘下に入った。