総合PR会社のベクトルは10月、スマートフォンの位置情報に基づいた広告と動画配信で企業のプロモーションを支援する「ジオターゲティングプロジェクト」を発表した。PR会社であるベクトルが、なぜ最新のアドテクノロジーを活用した試みを行うのか。その理由を、ベクトルグループのビデオワイヤー 代表取締役 杉浦健太氏に聞いた。

PR×位置情報で狙った人にコンテンツを届ける
――今回の「ジオターゲティングプロジェクト」とは、どのような取り組みなのでしょうか?
スマートフォンから取得した位置情報とDSPなどを連係させることによって、ターゲティングされたユーザーに情報配信を行うというプロジェクトです。例えば、ある人が遊園地に行ったとします。その人が家に帰った頃にスマートフォンでニュースをチェックしていると、今日行った遊園地のPR動画が流れてきて、再来訪を促す、といったことが可能になります。
これを実現するために、京都にあるスマートフォンを活用したプロモーションの支援会社のアドインテが提供するWiFi/Beacon技術を搭載した「AIBeacon(エーアイビーコン)」を使っています。
AIBeacon(エーアイビーコン)。Wi-FiがONになっているスマートフォンを持っているだけで、匿名IDを付与してユーザーを個別認識できる。
この「AIBeacon」は、従来のBeacon端末のように位置情報をフックにプッシュ通知できるだけでなく、Wi-Fiによって匿名のアクセス情報をDMPに集約することができるのが特徴です。この技術を使うことで、ユーザーが特定のアプリをダウンロードしなくても、Wi-FiがONになっているスマートフォンを持っているだけで、匿名IDを付与してユーザーを個別認識し、情報配信できるようになります。
――アプリのダウンロードが不要でユーザーを識別できるのは画期的ですね。ベクトルが位置情報を活用することになった、きっかけを教えてもらえますか?
昨今のテクノロジーが進化によって、メディアを介さずに情報をターゲットに直接届けられるようになっています。この技術をPRにも活用できないかと、昨年9月にベクトルとマイクロアドの合弁会社としてニューステクノロジー社を設立しました。