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コラム

i(アイ)トレンド

顧客に“無料”を期待させるマーケティングは正しいのか?(1)

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筆者の体験したからくり

最近ある商材を通信販売で注文しようと、いつも注文しているサイト内で検索をした。筆者は有料会員なので送料は無料であるが、一つかなりお得な商品がおすすめされてきたのでそれを買い物かごに入れていつものように決済しようとすると、見慣れないメッセージがあるではないか? はっきり覚えていないのであるが、「この商品は“ついで買い”対象の商品であるので後XX円注文しないと注文できません」ということであった。このような経験は初めてであった。

そこで、もう少しで無くなりそうな消耗品を検索し、その中の最も価格の安いものを買い物かごに入れ注文しようとすると「この商品はついで買い商品の対象ではないので、ついで買い商品は注文できません」ということであった。再び見てみるとついで買い対象の商品は500円ほど高い価格であった。すなわち結局、そのついで買い商品は送料を負担できる収益率の商品を購入させるためのテクニックではないかと感じつつも、注文することにしたのである。

この時は実際の商品が届いた時の体験も含め非常に不快であったが、「送料無料」と「企業収益の確保」という相反する命題を解決するためには、顧客体験を犠牲にする、あるいは商品の価格を上げるので商品の魅力を犠牲にせざるを得ないことを実感したケースであった。

マーケティングの4Pの一つである「Price」の定義とは?

マーケティングミックスの4Pを提唱したNeil Borden氏もこのような「0円、無料」のマーケティングが出てくることを予想していなかったのではないだろうか。

Price(価格)は “the real amount the end user is expected to pay for the product.” その商品を購入するために消費者が支払うと期待されるものとされている額と定義されている。これが“商品の価格”とされているが、一方で “perceived value” (知覚価値)というものも存在し、知覚価値が高ければ消費者はより高い価格を払うとし、知覚価値が低ければ払わないということである。

もし、この4Pの “Price” が “Perceived Value” と解釈されれば、「0円、無料」は価値が無いと解釈される。0円のものも実際それには価値があり、コストもかかっているのであるのでそれを可視化して体現することが重要なのではなかろうか。

色々難しい問題もあるだろうが、「無料、安い」といった「価格」から「欲しい、便利」と言った「価値」ベースにすることで、企業も消費者も共にハッピーになることが出来るのではなかろうか?次回はこの「価値」に注目してマーケティングの各種問題について考えてみたいと思う。