日本のCMは、世界を感動させることができますか?

チャンスは「オンラインフィルム」にある

昨年6月カンヌライオンズ・フィルム部門では、5つのサブカテゴリーを審査しました。その中のBranded Content部門ではドキュメンタリーやミュージックビデオなど、とてつもなく長尺のフィルムが多数エントリーされていました。

20分以上は当たり前で、最長は2時間半。テレビ放映という箍(たが)が外れてオンラインコンテンツになった途端に、ほとんどが途方もなく長尺になり審査員は完全に疲労困憊。そのとき審査委員長の言葉は示唆に富んでいました。

「我々の業界は、すべての物事を短い言葉に磨き上げ、短い時間で伝えることにずっと向き合ってきた。ブランデッドコンテンツでは、明らかに時間との付き合い方を見いだせていない。」

これはチャンスだと。テレビCMという枠から解き放たれ、時間の自由を得たけれど、コンテンツの最適時間を見つけたものは、まだそれほどいない。まだまだ伸びしろがたっぷりとあり、可能性が広がっているのだと。

フィルム部門の結果は、ゴールド以上の受賞では、ほとんどが120秒以上で、それらはCMというよりは、ブランデッド・ショートフィルムという呼び方がふさわしいものでした。根拠はありませんが、体感的に120秒程度が最適の尺なのだと思います。例外的に良いものでも最大で180秒。これは、大げさな話ではなく、数千本のフィルムを一気に審査すると自然に掴める感覚で、他の審査員も同意見でした。ストーリーに感情を移入させ、メッセージを届け、感動値を最大化する鉄板の尺。

ローカルを対象としたテレビCMとは異なり、オンラインフィルムを見るのはグローバル市民。せっかく世界の人々から見られているのに、彼らにわからないものを発信するのは実にもったいない。さすがにここでは、グローバルの人から分かってもらえなくても構いません、とは言っていられないわけです。

日本の優れた制作者たちが、こぞってこのゲームに参戦したら、状況は一変すると思います。

感動値の低いフィルムなど見向きもされないSNS上で、世界の誰にでも通じるテーマで人間を描き切る、ユーモアを振り切る。そして泣かせる、笑わせて顎を外させる。そういうことが必要になってきている中で、世界を感動させる日本発の120秒フィルムが量産されている日は、そう遠くないと思います。

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Advertising Week Asia 2016
Advertising Week Asia 2016

博報堂 長谷部守彦

D2C 宝珠山 卓志

博報堂ケトル 嶋浩一郎

松田康利事務所 松田康利

ぐるなび 藤田 明久

Taro & Company 児玉太郎

TBWA\HAKUHODO 佐藤雄三

電通 頼 英夫

ツナグ 佐藤 尚之

イグナイト 笠松良彦

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