足立:この連載で、アナウンサーの方に登場いただくのは初めてです。
小林:嬉しいです。ありがとうございます!
足立:テレビ番組「しくじり先生」を見ましたが、面白かったですね。
小林:何度もスタッフさんと打ち合わせを重ねて授業を考えたので、そう言っていただけて、ありがたいです。反響も大きくて、番組出演の前と後では、新しい世界の扉を開けたような感じでした。「ぶりっ子のイメージが変わった」「仕事にあんなに熱意を持っていたとは知らなかった」などといった感想もいただき、いままでどんなイメージを持たれていたのかもわかりました。
足立:女子アナの世界は、競争が厳しいですよね。
小林:正直、競争はあまり意識したことがないんです。局アナ時代は会社の番組にしか出演できないので、たしかにテレビに出られるアナウンサーの人数は決まってしまっています。だから、「この番組に携わることが夢です」という気持ちは口に出して言うようにしていました。
足立:無茶苦茶努力はしているんだけど、競争の感覚はないと言い切ってしまうところが…(笑)。
小林:あぁ、そこなんですね!私の悪いところは(笑)。でも、本当に競争意識はなくて、運とタイミングが良かったんですよ。
足立:わりと勝ち気なんですか。
小林:はい。負けず嫌いです(笑)。
足立:フリーランスになられたきっかけは?
小林:30代以降の人生を想像して、一度立ち止まってみようと思い、TBSを退社しました。2003年に入社して、多くの仕事をさせていただいたのですが、睡眠時間が少ない日が続いたり、プライベートの時間がなかったり…心身ともにいっぱいいっぱいになってしまい、疲れてしまったんです。
足立:頑張りすぎてしまったと。
小林:そうですね。自分に仕事が来るのは、認めてもらえているようで、本当に嬉しかったんです。だから、必要以上に期待に応えようとしてしまった部分はありました。フリーになって時間はかかりましたが、ようやく自分らしく生きられるようになった気がします。
足立:自分らしさという点では、ぶりっ子のキャラクターはつくっているんですか。
小林:つくってないです、出ちゃうんです(笑)。
足立:えーと、それはどこから?
小林:自然と…だから私は“天然ぶり”なんですよ(笑)。以前は、ぶりっ子と言われても「ぶりっ子じゃないです!」と否定していましたが、いまは「そう見えますよね。でもぶりっ子じゃないんですよ」と、少し大人になりました。世の中には、本当に色々な人がいて、多様性が認められる社会になっていますよね。だから、近い将来、私を含めて“天然ぶり”も、もう少し生きやすくなるのかなと思っています(笑)。
足立:なるほど。では、CMについてはどうですか。
小林:CMに出演できるのは、すごいことだと思うんです。企業がそれまでの仕事や生き方を見てくれた上で、今後の未来を考えて、そのタレントさんを起用してくれる。CMは、人の心にグサッと刺さるし、好きなCMは一生記憶に残ることもあります。企業のイベントに出させてもらえたり、社員の方とつながるきっかけになることも、素敵ですよね。CMはイメージが大事なので、私の場合はぶりっ子イメージが強すぎますかね…(笑)。
足立:どんなCMをやってみたいんですか。
小林:クルマです!小さい頃から大好きで、私にとってクルマの中は特別な空間なんです。座っているだけで幸せな気持ちになります。
足立:おぉ。では運転もされるんですか。
小林:それが運転はできないんです(笑)。免許証は持っているのですが、ペーパードライバーでして。いつか子どもが生まれたら、運転したいですね。
[対談を終えて]
テレビで拝見するイメージとは少し違い、ハキハキ、ズバズバとものを言われる方だと思いました。ご本人もテレビではそういう部分はカットされてしまい、どうしてもぶりっ子の部分が強調されてしまうとおっしゃっていましたが、そうなのでしょう。小林さんをCMに起用するのであれば、現在ミニストップさんで起用されている通り、小林さんのイメージを最大限引き出した、印象の強いCMが良いと思いました。(足立)
小林麻耶(こばやし・まや)
女性フリーアナウンサー、キャスター。1979年7月12日生まれ。TBS入社後、『チューボーですよ!』『世界・ふしぎ発見!』など多くの番組に出演。司会、レポーターとして人気を博す。フリー転身後、バラエティ、ラジオ、ナレーションなどで多くの番組に出演、2016年1月には歌手としてデビューし、活躍の場を広げている。
e-Spirit 足立茂樹 代表(写真左)
キャスティング会社e-Spiritの代表。博報堂出身。米国の大学でマーケティングを専攻し、米国スタイルのキャスティングを日本に取り入れ、オーディションシステムも体系化。現在では40名のスタッフで年間1数百本を越えるキャスティングを行う。
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