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コラム

広告の中の人 次世代を担う注目のタレント

門脇 麦の演じる姿勢の裏にある“受け身”の理由とは

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日清食品カレーメシや焼そばUFO、ダイハツ工業WAKE、味覚糖さけるグミなど、話題のCMを数多く手掛けるディレクターの佐藤 渉さんと、映画「愛の渦」や、NHK連続テレビ小説「まれ」など、幅広い作品に出演する門脇 麦さん。二人の創作に対する姿勢や考えを聞きました。

門脇 麦
ヘアメイク/石川奈緒記 スタイリスト/岡本純子 Photo /川嶌 順

足立:佐藤さんが広告制作の世界に入るきっかけは何だったのでしょうか。

佐藤:大学生の頃に世界各国のCMを一晩中、放映するイベントに参加をして、衝撃を受けたことがきっかけです。

足立:そうでしたか、どんなところに衝撃を受けたのですか。

佐藤:例えば、日本では実現が難しそうなブラックユーモアに溢れた表現などです。それまで日本のCMにはあまり魅力を感じていなかったのですが、海外のCMを見て初めてCMの世界に惹かれました。

足立:佐藤さんも面白いCMを手掛けられますよね。表現に際して、どんなことを心掛けているのでしょうか。

佐藤:今まで誰も見たことのない表現をしたいという思いが根本にあります。できるだけたくさんのCMを見るようにしていますが、目的はそこから何かを盗むためではなく、それらと似ていないものをつくるためです。

足立:なるほど。今後はどんな作品をつくっていきたいですか。

佐藤 渉

佐藤:僕は笑わせることしか興味がないと思われがち。泣かせるものやおしゃれなものもつくってみたいです。

足立:確かに佐藤さんの作品は思わず笑みがこぼれるような作品が多いですよね。泣かせるもので誰も今まで見たことがない作品というのも素敵ですね。ちなみに本日は女優の門脇 麦さんがいらっしゃっています。佐藤さんのキャスティングの起用ポイントを教えていただくことはできますか。

佐藤:8割は見た目と雰囲気で選びます。演技を見て決めるより、初めの自己紹介で決めることもあります。

足立:見た目は演技と違って普遍的ですよね。ではここで門脇さんにもご登壇いただきましょう。佐藤さんと門脇さんは共演されたことはありますか。

佐藤:以前、東京ガスの「ガスの仮面」というCMとWebが連動している作品で、Webの演出を担当しましたね。

門脇:あれはミニドラマという感じでCMの枠を超えていて面白かったです。

足立:視聴者として面白いと感じた作品だったのでよく覚えています。ちなみに門脇さんはご自身がブレイクしたきっかけは何だと思いますか。

門脇:映画「愛の渦」で新人女優賞を獲ったことですね。わりとエッジがありましたし、業界内でも話題になった作品でしたので…。

佐藤:どことなく影のある雰囲気が門脇さんの魅力かなと思いました。

門脇:ありがとうございます。私自身は基本ポジティブな性格なので、落ち込むようなことはあまりないのですが、佐藤さんのように感じる方が多いからこそ、少し暗めのニュアンスの作品のオファーが多いのかも。自分の性格と演じる役があまりにも違って驚くこともあるのですが、実際に作品を見ると自分でも影があるように見えて(笑)。「私って本当は暗いのかな」と思った時期もありましたね。

足立:独特な雰囲気がありますよね。門脇さんが今まで出演されたCMで印象に残っているものは何ですか。

門脇:すべて印象に残っています。普段の演技が自分を残さないようにするとしたら、CMは15秒、30秒の中で的確に残さないといけないと考えています。いつもと違う筋肉を使う感じでしょうか。演じること自体は変わらないのですが、短い尺で表現するのに、ドラマや映画とは使う筋肉を多少切り替えて演じているイメージです。

足立:「使う筋肉が違う」というのは、自分自身を前面に押し出していく感じでしょうか。

門脇:役者自身が何を考えているかわからないのが良しとされるのが映画やドラマだとすれば、何を考えているかがわかるようにしなければならないのがCMという考えです。

佐藤:そうですね、CMは短い時間で伝わるように、伝えたいことを凝縮させないといけないですから。

足立:なるほど、面白いですね。今後はどういったことに挑戦したいですか。

門脇:始めたばかりの頃はやりたいことをいろいろ考えていたのですが、今はこだわりがなくなってきました。

佐藤:映画や企画に合った自分を楽しむといった感じですか。

門脇:自分の感性ではなくとも、少し角度を変えてみるともうひとつ上のステージに行けると気づく瞬間が最近多いんです。自分がやりたいことにフォーカスすることも大切ですが、今は自分を耕すときだと考えています。

 

次ページ 「門脇さんはチャレンジャー精神が強いように」へ続く