東京五輪のエンブレムが、ついに決定した。「組市松紋」をテーマにしたエンブレムだ。発表後、制作したアーティスト 野老朝雄(ところ・あさお)さんに注目が集まり、昨晩からメディアでの報道が続いている。SNS上でも話題は絶えない。
昨年の「エンブレム」問題は、日本のデザイン、そしてデザイナーに注目を集める機会となった。同時に、日本のデザイン界のさまざまな問題を世に呈する機会にもなった。
デザインの果たす役割とは?ロゴ(エンブレム)とはどういうもので、どのように考えていくものなのか?デザイナーとはどういう仕事をする人なのか――。普段、私たち専門誌が誌面で伝えているような話がメディアで伝えられ、普段はデザインと縁のない人たちがデザイナーの名前を当たり前のように話すようになり、よくも悪くも「デザイン」というものが、世の中の人に知られることとなった。
そんないまだからこそ、「デザイン」という単語だけを、一人歩きさせてはいけない。新しいエンブレムが決まったから終わり、ではないし、デザインに対して真摯に向き合うこと、デザインについて考えることを終わりにしてはいけない。これはデザインに関わる人たちみなが考えるべきことで、私たちメディアも同様である。
2020年東京五輪開催時には、サイン計画やディスプレイ、ツール、広告など、これまで以上にさまざまなシーンでデザインが求められる。極端なことを言えば、デザインなくしては会場案内もつくれなければ、試合の告知もできないのだ。東京五輪は、デザイン本来の力をこれまで以上に発揮できる好機でもある。起こってしまったことを心に刻みながらも、そのことを前向きにとらえていきたい。
※本テーマにて、6月1日発売の月刊「ブレーン」7月号で緊急特集を実施します。
「東京五輪エンブレム決定!マーケティングコミュニケーションの専門誌編集長が分析」バックナンバー
- 広報の視点から、国民との「合意形成」に手を尽くした新エンブレムを考える ――月刊「広報会議」編集長 森下郁恵(2016/4/26)
- 市松模様生かす、2020年ならではの販促の場での表現に期待ーー月刊「販促会議」編集長 小林圭輔(2016/4/26)
- 五輪エンブレム「市松模様」を企業・スポンサーはどう生かせるか。――月刊「宣伝会議」編集長 谷口優(2016/4/26)
- 2020年東京五輪のエンブレムがA案「組市松紋(くみいちまつもん)」に決定(2016/4/25)
- 五輪エンブレム、最終候補に“敗者復活案”の理由(2016/4/08)
- 東京五輪エンブレム、最終候補4作品が決定(2016/4/08)
- 審査ライブ配信3.7万人視聴 五輪・新エンブレム選考始まる(2015/12/15)
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