2015年の年間訪日外客数は前年比 47.1%増の過去最高1973万人となった。2020年の東京五輪を控え、日本企業のインバウンドマーケティングの重要性がさらに増している。そのような中、企業の関心は「爆買い」に加えて、訪日外国人にどう継続的に購入してもらうのかにもある。マーケティング会社のトレンダーズは、5月下旬に中国EC企業の「bolome(ボウロウミイ)」と提携し、海外の消費者に対して商品を販売する「越境EC」の事業をスタートさせた。そこで、同社のインバウンド事業の責任者である郭翔愛氏に、成果を出すインバウンド施策と越境ECについて聞いた。
「越境EC」への期待が高まってる
—今回のテーマは、いま注目を集める「越境EC」です。まずはトレンダーズが、これまでどのようなインバウンド支援事業を行ってきたのか教えてください。
企業のインバウンド事業への機運の高まりから、2014年から事業化を進めてきました。その第一弾として2015年4月に、日本の絶景を世界へ発信するWebメディア「
」を立ち上げました。ストックフォトのアフロと提携して、プロカメラマンが撮った高品質な日本の風景写真を掲載し、東京・京都に限らず日本の地方の良さを発信することが目的です。公開早々にFacebookが100万「いいね!」を超えて、順調なスタートを切りました。
—「ZEKKEI Japan」などのメディア事業に加えて、企業のインバウンドを支援するプロモーション事業も展開されていますね。それらの事業を通じて、「越境EC」の重要性に気付いたのでしょうか。
はい、メディアの立ち上げと平行して、企業のインバウンド施策の支援を始めました。インバウンドマーケティングのポイントは、訪日前の情報提供にあります。日本に訪問する予定の中国や台湾といった訪日外国人の購入リストにクライアント企業の商品を入れてもらうための、現地プロモーションに力を入れてきました。これはもともと私たちが日本でも得意としてきたマーケティング領域の仕事。中国で人気を集めているSNSの「Weibo(ウェイボー)」や「WeChat(ウィーチャット)」などを活用しました。
ただ、現地でヒアリングを重ねてきたところ、当たり前ですが、訪日外国人にとっては商品単位で店を回るよりも、店舗単位で商品を購入する方の効率がいい。そこで、店舗とメーカーが組んだタイアップキャンペーンを企画しました。

