コミュニケーションアプリWeChatによるモバイルペイメントが一般化するなど、生活に密着したテクノロジー活用が急速に発展している中国。博報堂 インタラクティブデザイン局の林智彦さんは、今年5月に上海、そして「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深センを訪れ、「テクノロジー革命」の最前線の“現場”を体験して来ました。この記事では、前編(上海)後編(深セン)の2回にわたって現地からのレポートをお届けします。
文・林智彦(博報堂 インタラクティブデザイン局)
中国のモバイルって、世界でいちばん進んでるんじゃないか?
って感じる機会が増えた。
上海近くの蘇州で暮らす父のiphoneスキルが近年急速にあがっていて、WeChat(LINEのようなアプリ)で孫の写真を送ると即レスが返ってくる。ちょっと前までブラックベリーのちっちゃいのをメール用に持っているだけだったのに。
赴任中の大学の友達は、忙しい時はタクシーの中でWeChatで仕事しながら別のアプリでケータリングの配達を注文しておき、降りるところでピックアップする。
スタートアップ系のニュース記事でも「ユニコーン(評価額10億ドル以上の未上場企業)」上位の半数近くを占める。
あの地で何かが急速に進んでいる気がした。
「中国には溜息カットはいらない」
広告もとにかく前向きな方が生活者に歓迎されやすいと聞いたことがある。
日の暮れてきた土手でサラリーマンがしょぼーんとする、という日本人のセンチメンタルな共感シーンはNGで、どれだけ輝けるのか?前向きなメッセージやビジュアルが歓迎される。
暗い・ネガティブ・パワーを失うニュースばかりの日本。中国テクノロジーの発展とポジティブさには、なにか前向きになるヒントがあるのかも!?と思った。