日本国内の流通や小売業の売上を下支えしている中国人観光客の「爆買い」によるインバウンドと、その次のステップとして注目を集める「越境EC」。これらの可能性を考えるイベントが5月31日、「Advertising Week Asia 2016」内で開催された。その模様をレポートする。
「中国人旅行客をターゲットにしたインバウンド・マーケティング–地図を活用した位置情報サービスでインバウンドの可能性を探る」
第一部は、中国における検索で80%以上のシェアを持つバイドゥ(百度)によるオープニングトークでスタートした。同社 高橋氏は、中国人旅行客の消費を促すために「訪日前」「訪日中」「訪日後」の3つのフェーズでアプローチすることが重要だと解説する。
「調査によると、日本で購入した商品の約40%は訪日前に購入を決めたもの、残りの60%が訪日中の意思決定で決まる。訪日前にしっかり情報発信するだけなく、訪日中にもアプローチし、実際に来店させ、その体験を口コミとして蓄積させていくことが求められる。その情報が検索によってインデックス化され、次のインバウンドや越境ECへとつながるため、このサイクルを抑えることが大切になる」。
バイドゥ(百度)では2月に、こうした企業をサポートするために中国語の日本地図サイト「
」をリリースした。中国本土ではグーグルマップが使えないため、多くの旅行客が日本でホテルや観光施設に置いてある周辺地図、もしくはガイドを使い観光している。この「百度地図」を通じて、旅行客だけでなく、訪日中の店舗への送客も支援していくと話した。
その後のパネルディスカッションは、ぐるなびの水野氏、三越伊勢丹ホールディングスの瓦林氏、公益財団法人京都文化交流コンベンションビューローの赤星氏の3名が登壇し、インバウンドの取り組みと課題を紹介した。
