ニュースは顧客への有益な情報コンテンツ
ニュースが提供される場所がデジタル上に移り変わったことは、どのくらいブランドに影響を与えるのでしょうか。
ニュースのキュレーションサービスを、広告やメディアネイティヴなコンテンツを配信するための「メディアビークル」として活用する考えもあります。ただし、そもそもブランド側のコンテンツマーケティングの考え方そのものが、こうした潮流によって生まれてきたと考えるべきでしょう。
ソーシャルメディアがもたらした情報の民主化によって、ブランドがメディアに依存することなく、オーディエンスに直接、有益な情報を届けられるようになりました。その基本形が、消費者を含むステークホルダーに対するニュースリリースやソーシャルメディアの企業アカウントでの発信です。
ニューバランスでも、コンテンツマーケティングの初期段階で、この2つを実施しています。その際に、最も強力なコンテンツになるのは「事実としてのニュース」です。「Fact(事実)をValue(価値)にする」とはニュースリリースのプラットホームNews2Uが掲げるスローガンですが、まさにニュースリソースの特性を捉えていると思います。
企業やブランドにとっての「事実」は、業績や事業についての公の情報だけでなく、ブランドにとっては当たり前の情報も指します。得てして、従業員にとっては重要な価値を持つエピソードが、ターゲットとしている顧客や消費者には知られてないことは多いです。それは端的には開発の背景やストーリーであり、直接的にはマーケティングに活用できないと想定されているものです。
ブランドにとっての、そのような隠れた価値を持つ「事実」は以下のように分けられます。
- 歴史や過去の事実
- 時事的な行事
- 従業員や関係者が語る事実
- 統計的な事実
- ユーザーや消費者の意見
- 業界関係者の意見
- 業界のビジネスやエコシステムに関すること
- 業界を取り巻くマクロなトレンドに対する自社のスタンス
- ブランドの価値観に関する逸話
これらは、あくまで「素材としての事実」であって、当然のことながら価値を与えてニュースとしてコンテンツ化するためには、時勢やコンテクストに沿ったストーリーテリングが必要です。そのようなストーリーとは、企業の都合で考えるのではなく、生活者の視点で語られる必要があります。消費者にとってはどのようなタイミングで、どのようなきっかけで有益な情報を届けるべきか、ということを考えないとニュースにならないのです。
そしてニュースリリースのような情報伝達の形式は、この「ニュースとしての価値」があるかどうかを判断するフォーマットとしては最適であることがわかります。実際にアマゾンでは新しいサービスについて会議で検討する際に、プレスリリース形式でタイトルや内容のサマリーを考えるということを行うそうです。
そして、ニュース自体を明確にマネジメントできれば、ブランドと消費者の関係をマネジメントできることがわかります。ニュースは、ただ報道するメディアを経由して拡散するのではなく、ソーシャルメディアのような場所で消費者の会話を生み出すことができます。
実は、パブリッシャーとしてのメディアは、本来はオーディエンスとそのような関係作りのためにニュースを発信しているはずです。コンテンツマーケティングをブランド側が継続的に運用していくためには、このようなパブリッシャーとしての視点が必要です。つまり、消費者のコンテクストに合わせて、適切なコンテンツを継続的に発信することが決定的に重要ということです。
コネクテッドとかオールウェイズオンというデジタルマーケティングに特有なコミュニケーションの関係性は、率直に言えばそうしたパブリッシャーがオーディエンスとの間に築いてきたものを、リアルタイムにマネジメントしていくということに他なりません。
それはスマートフォンのようなデジタル環境が消費者とのパーソナルな関係に根ざしているからこそ、相手との関係を無視した一方的なスパムのようなコミュニケーションを避け、彼らの時間やニーズにあった情報としての関係を捉えることです。
そして、それはニュースという情報をブランドがパブリッシャーとして見直すことで明らかになると思います。
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