広告とコンテンツ、その両方を理解するのに最良の書。『広告0円 スマホを電話だと思う人は読まないでください。』(吉良俊彦・著)が、4月より全国の有力書店・オンライン書店で販売されています。本書では、マスメディアや新しく台頭してきたメディア、さらにそれらを取り巻く広告やコンテンツ、エンターテインメントの未来のあり方を詳しく解説しています。コラムでは、著者の吉良俊彦氏がインタビュアーとなり、それらの領域で最先端を行くビジネスパーソンが、今の世の中をどうとらえているのか、未来はどうなると考えているのかなどを合計四人のゲストから引き出します!第1回のゲストはクリエイターのエージェント会社・コルク代表の佐渡島庸平さんです。
吉良:
今の世の中における「マンガ」というコンテンツについて、佐渡島さんのお考えを聞きたいと思っています。僕がすごく興味があるのは、マンガの仕組みはなぜこんなに長い間変わらないのか?ということ。1959年に創刊された少年マガジンや少年サンデーの頃から、出版物の形式や編集者の仕事がデジタルの時代になっても、ずっと変わらないようにみえるのはどうしてなのでしょうか。
佐渡島:
僕は逆に、大きく変わってきていると思っています。マンガの歴史の一番初めは貸本から始まっていて、次が雑誌の時代です。過去の歴史を見ていて面白いなと思ったのが、雑誌の時代には単行本を出すことが恥ずかしいと思うような風潮があったんですよ。作家の収入が雑誌の原稿料で占められていた時には、「単行本にしないと分からないようなマンガを描いているなんて、かっこ悪い」という価値観がありました。それが途中から、単行本で収益を得ていくという考え方に変わっていきます。
だからこの50年、60年の間に出版社も3回くらいモデルチェンジをしているんです。出版ビジネスにおける「お金を得るポイント」が、10年や15年をかけて緩やかに変わっていくということを経験しているんですね。これまでは「紙の本」という領域で変化していたから、流れが緩やかで対応できていたけれど、今はそれが「デジタル」という領域での急激な変化なので、対応しづらくなってきているのだと考えています。

