次にやってくる「広告」とは何か?「ユーザー体験ファースト」から未来を予見する

デスクトップからモバイルへ。

画像提供:shutterstock

消費者のメディア体験をつかさどるプラットフォームは大きく変貌している。そこで顕在化している問題のひとつが、広告に対する消費者からの手厳しい抵抗行為だ。

象徴的なのは、表示に時間のかかるディスプレイ広告を回避する「広告ブロック」の浸透だろう。むろん、広告ブロック機能が広まる以前から、消費者は“邪魔”な広告に対して、心の目を閉ざすすべを身につけていることは、後述するように明瞭だ。

Facebook、Google、Appleら大手プラットフォームが、アプローチこそ異なれ、記事の高速表示にいっせいに乗り出したのも、消費者による抵抗行為への対策という意味があることは言うまでもない。

筆者は、このような広告回避の流れと向き合うためには、良質なメディア体験の構築、すなわち、「ユーザー体験ファースト」(ユーザー体験を最優先する)思想から始めるべきだと考える。それは優れたメディアやプロダクトを創造する際に求められる設計思想と同等の重みを、広告にも振り向けなければならないことを意味する。

つまり、メディアを継続可能なビジネスとするためにも、良質な体験を生む新たな広告の開発が求められるのだ。

そのためには、ポイントが二つある。
第一に、表示が高速、あるいは、“めざわり”でないものでなければならない。そして第二に、クリエイティブとして魅力的なものであるべきだ。

前回のコラムで、消費者が広告を回避する理由が、「邪魔する」「うんざりさせる」「表示が遅い」であることに触れた(「ディスプレイ広告で稼ぐ時代が終わる? スマホのユーザー体験が突きつける現実」)。これらはクリエイティブそのものの問題である以前に、フォーマット(表現形式)の問題であることをうかがわせる。

「ネイティブ広告」は、いまだに毀誉褒貶をともなう概念だが、“フォーマット”の視点からすれば、広告は徹底的に“ネイティブ”であるべきだ。というのも、たとえば、ヤコブ・ニールセン教授らの研究からも(「バナーは目に入らないのか?~新旧の知見」)、消費者は、編集コンテンツと分離しえるバナー広告には、見向きもしない行動態様をすでに身につけているからだ。

ニールセン教授らは、アイトラッキング手法で、消費者がバナー部分に目を向けないことを証明した(「バナーは目に入らないのか?~新旧の知見」より)

このように、表示デバイスの多様化、特にモバイル化が劇的に進む中、その最適な体験を創造することが急務のはずだが、ことに広告のフォーマットにおいて、取り組みが遅れてきた。

次ページ 「今後、求められる広告とは何か?」へ続く

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藤村 厚夫(スマートニュース)
藤村 厚夫(スマートニュース)

90年代を、アスキー(当時)で書籍および雑誌編集者、および日本アイ・ビー・エムでコラボレーションソフトウェアのマーケティング責任者として過ごす。

2000年に技術者向けオンラインメディア「@IT」を立ち上げるべく、アットマーク・アイティを創業。2005年に合併を通じてアイティメディアの代表取締役会長として、2000年代をデジタルメディアの経営者として過ごす。

2011年に同社退任以後は、モバイルテクノロジーを軸とするデジタルメディア基盤技術と新たなメディアビジネスのあり方を模索中。2013年より現職にて「SmartNews(スマートニュース)」のメディア事業開発を担当。

藤村 厚夫(スマートニュース)

90年代を、アスキー(当時)で書籍および雑誌編集者、および日本アイ・ビー・エムでコラボレーションソフトウェアのマーケティング責任者として過ごす。

2000年に技術者向けオンラインメディア「@IT」を立ち上げるべく、アットマーク・アイティを創業。2005年に合併を通じてアイティメディアの代表取締役会長として、2000年代をデジタルメディアの経営者として過ごす。

2011年に同社退任以後は、モバイルテクノロジーを軸とするデジタルメディア基盤技術と新たなメディアビジネスのあり方を模索中。2013年より現職にて「SmartNews(スマートニュース)」のメディア事業開発を担当。

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