連載12回目を迎えた本稿では、いよいよ「広告の終わり」について考えてみなければならない。
というのも、つい最近、私たちは2つの刺激的な論に出会ったからだ。
ひとつは、ご存じ田端信太郎氏による「オーケー、認めよう。広告はもはや「嫌われもの」なのだ — LINE 田端信太郎 」だ。
もうひとつの論は、米国の調査会社Forrester Researchが公開したレポート「The End Of Advertising As We Know It(私たちが広告として知っているものの終えん)」だ。同レポートは有料であるため、概要を知るにはLaurie Sullivan氏「The End Of Advertising」を参照するのも良いだろう。
これらの論は、いずれも私たちが所与としてきた「広告」という存在を疑うべき段階に入ったことを伝えている。
「嫌われもの」とは何か
まず、田端氏の論に触れておこう。ポイントは広告というものが、商業コンテンツの中心に座り続けることで消費者にとって重要であった時代が終わり、その意義が疑われるようになった。これが広告が「嫌われもの」へと転落する、言い換えれば「広告の終わり」という事態を引き寄せる動因だとする。
では、何が変わったというのか?
商業コンテンツ以上に重要な「自分の親しい友人や知人、彼氏彼女」との会話というコンテンツが、消費者の眼前に誕生したからだ。それが広告と親和性の高い商業コンテンツにとって、最大のライバルになったというわけだ。
一方のForresterレポートは、広告の終わりをどう位置づけているのだろうか? Sullivan氏はこう要約している。
消費者は自分の邪魔をする相手に費やす時間をますます減らしていく一方で“ホームハブ”と言われる、Amazon EchoやGoogle Homeのようなデバイスと人工知能アシスタントを使うようになっていく。広告に邪魔されずに、消費者が尋ねたことにデバイスが答えてくれるからだ。
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