わかったつもりになっていませんか?ーー社会と若者の新しい関係性をデザインしよう

2016年8月、電通若者研究部(電通ワカモン)は活動の集大成となる書籍『若者離れ』を刊行した。単なる世代論ではない、異なる価値観を持った若者世代とのコミュニケーション術にも言及した本著刊行の狙いとは。
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著者の一人、吉田将英氏(31 歳)。「電通ワカモン」の代表としてプロジェクトプロデュース、インサイト研究を担当する他、兼務で経営全般をアイデアで活性化する未来創造グループに所属。「日本社会は、年長者の影響力がさらに増し、若者に権限移譲できず、あらゆる場面に“上申の壁”が存在するのでは。企業も社会も『情報革命』後の世代の考え方を取り入れるべきだし、『電通ワカモン』の活動をきっかけに、同じような志を持った同世代の異なる業界の人たちともつながりを持てないかと考えている」(吉田氏)。

人生の中に若者が登場する全てのひとに向けた1冊

2015年時点で日本の総人口における14歳以下の割合は12.5%。少子高齢化が進む中、社会における若者の「量の影響力」は確実に減少傾向にある。

自動車やアルコールなど若者の「〇〇離れ」はさまざまな業界で囁かれてきたが、この状況を前に「人口の少ない市場を対象に、労力をかけても仕方ない」と若者との対話をあきらめてしまっている企業はないだろうか。

「量の影響力が少ないことを理由に、社会全体が『若者離れ』に陥っているのではないか」。そう指摘するのは、電通の吉田将英氏だ。2010年に発足した「電通若者研究部(通称:電通ワカモン)」の代表を務めている。

吉田氏ら「電通ワカモン」は今年8月、これまでの活動の集大成として書籍『若者離れ―電通が考える未来のためのコミュニケーション術』を刊行したばかりである。

広告会社内のプロジェクトメンバーによる著書と聞くと、若者対象にいかに彼らに商品を売るか。マーケティング戦略に言及した本と思ってしまうが「単純な世代論の本にはしたくなかった」というのが吉田氏ら、著者陣の強い意向だ。

「消費対象としてだけでなく、部下や家族など、“人生に若者が登場する全ての人 ”に向けて、そのコミュニケーションの参考にしてもらえれば」と考えたという。

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