コラム

広告は、ナメられているのか!?

クリエイティブディレクター 水野学は『広告をナメたらアカンよ。』をどう読んだ?

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好評発売中の書籍『広告をナメたらアカンよ。』。著者 山本高史氏と親交の深いクリエイティブディレクターの水野学氏(good design company代表)に、本書を読んで感じた世の中に必要とされるクリエイティブについて語っていただきました。

クリエイティブディレクターの水野学氏(右)とコピーライター山本高史氏(左)。写真は『広告をナメたらアカンよ。』の元になった『宣伝会議』の連載取材時のもの。

著者は変人である。会ったことがある人なら、すぐにご理解いただけるだろう。とりわけ一緒に呑んだことのある人ならさらに、その変人ぶりは周知のことだろう。

しかし残念ながら(?)、今回僕が話したいのは、そっちの方の著者ではなく、仕事人として、広告人として、クリエイティブディレクターとして、コピーライターとしての変人「山本高史」である。

なにが変人かという文脈でのみ結論を言えば、「真面目」である、ということ。これほどまでに仕事に対して真面目に対峙できる人には、あまり出会わない。

それはご自身の仕事のみならず、他人の仕事に対しても真面目で、広告界に対しても、コピー界に対しても真面目である。そこには「義憤」もあれば「失望」もあるかもしれない。

しかし、恐らくその根底を支えているのは、「愛」なんだと思う。著者と仕事以外の場で会った人は、氏の真面目さを垣間見ることはできないかもしれない。しかし僕自身は何度か、いや、何度もその現場を目撃した。

これまでご一緒した仕事は、競合プレゼンを含めて「TOYOTA」「SONY」「ARUHI」など、錚々たる企業である。プレゼンの準備は、長時間にわたる。どれほどこの世界を良くできるか、どれほどこの会社のためになるか、どれほど消費者のためになるか、あらゆる方向から、仮説と検証を繰り返すのである。

無論、当たり前のことであると思われるかもしれないが、氏の仕事はもはや仕事の枠を超え、「研究」に近い。しかも、クライアント側が「NO」を出せば、すぐにまた別の角度から「研究」が始まるのである。ひと言の文句もなく。(そのストレスから、呑みではああなるのか、と気付く読者も多いだろう……爆笑)

『広告をナメたらアカンよ。』山本高史(著)、詳細・購入はこちらをご覧ください。

その著者が書いた『広告をナメたらアカンよ。』という本である。タイトルを聞いた瞬間「誰もナメてませんて」と関西弁でツッコミそうになったが、帯を見たら全く同じことが書かれており、吹き出した。

本業であるクリエイティブディレクションやコピーライティングの時と同様、この本でも、真面目に丁寧に「研究」を行っていらっしゃると感じた。

広告をナメてる人が多いとまでは思わないが、広告自体の意味を問われる機会は増えたように思う。そこには、広告界のクリエイティブに対する疑念があるのかもしれない。

僕自身、コピーライティングやデザインなどを行う側の人間と、それらを必要とする側の人間のあいだに、深く広い谷川があると言っている。ここにいかに橋を架けることができるかが、大切になっているのだ。

この橋はクリエイティブ側から架けてもいいし、クリエイティブを必要とする側から架けてもいいし、第三者が架けても構わない。ともかくクリエイティブジャンプ(造語)を起こすことなくブリッジを架けることができれば、世の中にもっと必要とされるクリエイティブを構築することができるのである。

本書では、そのヒントとなる様々な切り口が紹介されている。もとい、「研究発表」されている。広告をナメている人はもちろん(笑)、これからの広告やコピーやデザインに、希望や、多少の不安を抱いている人は必読の書である。

最後に。僕は常々「デザイン批評家ではないから、他人のデザインは語らない」と公言している。でもこの本では、他人の広告(の素晴らしさ)が大いに語られている。

だから高史さん!名刺には今後、クリエイティブディレクター、コピーライターの次に、広告評論家と入れるか、社名を「コトバ研究所」に改名してください。名刺は僕がデザインしますから(笑)。


『広告をナメたらアカンよ。』好評発売中!

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『宣伝会議』でおよそ2年間にわたって掲載してきた人気連載「広告を『読む』。」が大幅な加筆修正をし、待望の書籍化。

「男は黙ってサッポロビール」「そうだ 京都、行こう。」「おじいちゃんにも、セックスを。」「恋は、遠い日の花火ではない。」「ピッカピカの一年生」「おいしいものは、脂肪と糖でできている。」「ウイスキーが、お好きでしょ」「愛だろ、愛っ。」「想像力と数百円」「あなたが気づけばマナーは変わる。」「みんながみんな英雄。」・・・など

名作コピーを紐解き、 広告を読むことで見えてくる「時代/社会/人間」。 そこにはいつもコミュニケーションの本質があらわれる。 コピーライターであり「言葉の専門家」でもある著者が語る、 渾身の広告・コミュニケーション論!

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