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くまモンの入浴VS温泉でシンクロ 熊本と大分の「温泉動画」企画対決

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「くまモン一点突破」により県全体で一本の筋が通った企画に

編集部:今回の動画をはじめ、熊本・大分の両県は以前から広報活動に積極的な自治体として定評があります。ユニークで人々の心をつかむ企画を実現するためのポイントはありますか。

成尾:最近では、熊本のプロモーションは「くまモン一点突破」のようになってきています。私は、これがとてもいいことだと思っているんです。「くまモンの休日」の動画は県の広報課が手がけていますが、ほかにも観光課など各セクションがそれぞれくまモンを使った色々な情報発信やプロモーションを実施しています。そもそも熊本は食べ物に観光、歴史と様々な資源がありすぎて、プロモーションに統一感がありませんでした。それが、くまモンを活用することで、今では一本の筋が通った企画として県全体で考えられるようになっています。

そしてくまモンが成功したポイントは、やはり多くの民間事業者の皆さんにライセンスフリーで利用できるイラストを提供しているという点だと思います。県への利用申請は必要ですが、無料で使える代わりに熊本のPRにつなげていただきたいと考えています。

これにより、普段はコラボレーションが実現できないような商品のパッケージでも熊本のPRが可能です。2015年の関連商品の売上は1000億円を突破しました。大手の企業とのコラボレーションは100社以上、通常の許諾は2万件を超えています。

それとくまモンは公務員ですから(笑)、一業種一社という原則はありません。例えば同じ菓子業界でライバル会社同士であっても、複数の企業と組みます。それはもちろん、事前に企業の皆さんにも理解をいただけるよう説明しています。

高屋:大分県の広報では、「何か大分の物を売る」というよりも、「国内や海外の人に大分に来てもらう」ためのプロモーションをすることを大前提として考えています。それは今後の広報の舵取りにおいても大きなポイントになると思うんです。

また、広瀬勝貞知事からはよく「不易流行だ」と言われています。単純に同じものを繰り返し継続しても先には進めませんから、プロモーションの手段ひとつをとっても「変えるべきものは変えて、守るべきものは守る」という姿勢を貫きたいと思っています。

それともう一点。同じプロモーション企画でも、紹介されるメディア次第で反応がまったく異なることも学びました。例えば、関東や関西など都市圏のエリアではあまりテレビが見られていませんよね。一方で中国・四国地方といったエリアはテレビの視聴習慣がありますから、そんなエリアではテレビで紹介される機会を活用するなど、交渉先をうまく見極めながらPRすることも大変重要かと思います。受け手の状況を意識してプレスリリースを送るようにしていますね。

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