まずは、広告業界に飛び込んでみる。そこから道を見つける。
たとえば、金融系で働いていた人が、いきなりコピーライターに転職するのは、かなり無理があります。その産業には独自の仕組み、仕事のフロー、スキルが必ずあります。その業界ならではのリアルな経験はやはり必要です。
あまりいい例えではないかもしれませんが、野球の女子マネージャーを目指す人が、野球のルールを知らず、ボールやバットを触ったこともなく、グラウンドに立ったこともなければ、やはりマネージャーとしてはうまく体や頭を働かすことはできません。
「コピーライターになりたい」という方に、私がおすすめしているのは、広告業界の営業職への転職です。営業職は、広告会社や制作会社の中心的機能を果たします。利益の創出、ワークフローやスタッフィングの設計、メディアの選定、クライアントとのパートナーシップ構築など、全体を俯瞰してプロデュースを行います。
当然、クリエイターたちとの恊働も多く、営業もクリエイティブスタッフと同じ目線で、広告コミュニケーション作業に携わります。

『これから、絶対、コピーライター』
博報堂で、長年にわたりクリエイティブ人材の、採用・発掘・育成に努めた著者が、門外不出であったコピーライターになるための方法を初公開。「コピーライターになる人は、特別な才能や、資格を持っている人?」。そんな多くの誤解を解きつつ、コピーライターのイキイキとした実像を明らかにします。
昔、博報堂では、営業でコピーを書く人もいました。打ち合わせでも、コピーライターのコピーと同じテーブルに並べられます。「おっ、うまいじゃん!」とか、クリエイティブディレクターに褒められて、「おい、黒澤、おれのコピーを超えろよ」とか褒められついでに、言ったりとかして。そう、時々、アイデアフルなコピーを書いてくる営業の方もいました。コピーを書くと、その広告がどういう広告として社会に出たらいいのか、アウトプットイメージが想像できるんです。