ドラマの世界観を共有できる時間を増やす
こうしたコンテンツのつくり込みについて、「われわれ制作側が楽しみながらコンテンツをつくっていることを、視聴者に感じてもらいたかった」と、峠田浩プロデューサーは話す。とは言え、コンテンツの質をいくら磨いても、それだけでは届かない人たちが一定数いるのも事実だ。こうした層にも番組を届けるには、従来型の番組宣伝ではリーチできない層にアプローチする施策が必要だと強調する。
普段、ドラマを見ない人たちにも届けるにはどうしたらいいか。ドラマを視聴している時間以外にも、ドラマのことを考えてもらうにはどうしたらいいか。人々の身の周りには他にもたくさんの娯楽やコンテンツがある中、「逃げ恥」のマインドシェアをいかに高めるか。そこで、ドラマの世界観を共有・反芻できる場や時間を増やすべく、さまざまな施策を展開した。
「TBS FREE」「TVer」「GYAO!」での見逃し配信(第10話放送前までに再生回数は1700万回突破)を実施するのはもちろん、TBSのYouTube公式チャンネル「YouTuboo」では先述の「恋ダンス」動画を公開したところ、こちらも最終話放送直前の12月20日18時時点で8800万回再生を突破する大反響を得た。Instagram、Facebook、Twitter、LINEと各種SNSをフル活用し、視聴者のタイムライン上に「逃げ恥」を高頻度で露出させることを試みた。
さまざまな企業・団体とのコラボレーションも実現。ドラマのロケ地である横浜市と共同で、“聖地巡礼”しながらプレゼント企画に応募できる「逃げ恥 横浜巡りキャンペーン」を実施、料理レシピサービス「クックパッド」では、サイト内に「逃げ恥公式キッチン」を開設して、作中に登場する数々の料理のレシピを公開した。このように、視聴中以外の時間も、さまざまな切り口でドラマの世界を体感できる環境をつくり上げた。
「テレビドラマの宣伝・広告は、インターネットの登場によって大きく様変わりしました。Web上でいかに情報を流通させるかがカギで、テレビでも映画でも宣伝担当の中には必ずWeb担当を置くようになりました。特に若年層は、エンターテインメント関連のニュース・情報を平日ではなく、週末にネットで見るという人も多い。何をきっかけにドラマを知って、視聴に至るかわかりませんから、さまざまなメディア、ツール、施策で、ドラマと接触する機会を創出する必要があります。そのことの重要性を、今回のプロモーションを通じて改めて実感しました」(那須田氏)。
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