メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×

『逃げ恥』プロデューサーが語るヒットの鍵「楽しみ方は視聴者に見つけてもらう」

share

重要なのは、ユーザーが自ら楽しみを見つけること

視聴者の反応をリアルタイムに捉え、プロモーションに柔軟に反映させていくことも重視したという。例えば、話題拡散の火付け役となった「恋ダンス」は、元々はYouTubeで公開する予定はなかったし、「恋ダンス」という名称も存在しなかった。しかし、初回放送時に視聴者からの反響が大きかったことを受け、「恋ダンス」と命名した上でYouTubeに公開。結果、多くの一般ユーザーから“踊ってみた”動画が投稿されることとなった。

その後、「(出演者の一人である)藤井隆さんはダンスが上手いのに、なぜ恋ダンスには登場しないの?」というSNS上の投稿を受け、藤井さんバージョンを公開。恋ダンスへの反響は留まるところを知らず、主人公たちが暮らす部屋に飾られているロボット(「ロボホン」)が踊るシーンも劇中に登場。

連ドラでは、視聴者の反応を踏まえて、先々の放送回の内容や結末を当初の予定と変えることも少なくない。映画や単発の長編ドラマでは実現できない、連ドラならではのつくり方を、今回はドラマそのものだけでなく、プロモーションにも適用した。これも、「逃げ恥」の成功の要因の一つと言えるのではないだろうか。

峠田氏は、Webを主戦場とした番組プロモーションの難しさについても触れた。「重要なのは、ユーザーに、自分の楽しめるポイントを“自分で”見つけて、楽しんでもらうことです。いろいろな仕掛けを多くの人に知ってもらおうと主張し過ぎたり、楽しみ方を押し付けたりすることは避けなければならないと思います。現代の視聴者は目が肥えていて、制作側の『流行らせよう』という意図や宣伝臭を敏感に感じ取ります。自分で見つけた楽しみ方こそ、周りの人に教えたくなる。これが話題拡散の基本だと思います。気づいてもらう努力は惜しまず、でも主張し過ぎない。そのバランスをとるのが難しいところです」。

本記事は、『宣伝会議』2017年2月号に掲載の連載「私の広告観」の一部を抜粋したものです。全文は本誌をご覧ください。

那須田 淳 なすだ・あつし

1988年TBS入社。ドラマ、バラエティ、映画の演出・プロデューサーを多数手がけ、現在、事業局映画・アニメ事業部長兼制作局ドラマ制作部。主なプロデューサー作品として、ドラマは『パパとムスメの7日間』『流星の絆』『ウロボロス』『コウノドリ』『重版出来!』、映画は『恋空』『ハナミズキ』『ビリギャル』など。

 

峠田 浩 たわだ・ゆたか

2004年TBSに入社。報道局や情報制作局で編集長や政治部記者、ディレクターとして『NEWS23』『サンデーモーニング』『朝ズバッ!』などの番組を担当。 選挙特番、報道の日など報道特番の演出も行う。2014年に制作局ドラマ制作部に異動し、2015年に『コウノドリ』、2016年に『毒島ゆり子のせきらら日記』のプロデューサーを担当。