楽天がデータを活用したマーケティング支援を強化している。1億を超える楽天会員の消費行動分析データを活用することで、従来はターゲティングが難しかったスマートフォンのアプリユーザーにも精度の高い広告配信を実現しているのだ。生活者のメインデバイスがPCからスマートフォンに移行し、アプリの利用時間も増えるなか、楽天はどのように広告配信をサポートしているのか。その動向を取材した。
スマホやアプリに対応したマーケティングがさらに重要になる
──ユーザーのメインデバイスがPCからスマートフォンへと移行する「スマホシフト」が進んでいます。繁山:
はい、ニールセンの調査(※1)でも1人あたりのスマートフォン利用時間は年々増加傾向にあります。楽天市場でもアプリを利用するユーザーが非常に増えており、スマホシフトと同時に「アプリシフト」も進んでいるという実感を持っています。
(※1)ニールセン プレスリリース「スマホアプリ利用時間の約35%はコミュニケーションで消費、1位は「LINE」~ ニールセン、スマートフォンアプリの利用状況を発表~」
──アプリシフトによって、企業のマーケターはどのような課題に直面していますか。
楽天 アドソリューションズ事業 テクノロジーソリューショングループ マネージャー 松尾大氏
渡邉:
特に若年層ではスマートフォンだけしか使わないという人が多く、広告主がタッチポイントを増やすためにはアプリ上でもリーチしていく必要があります。ただアプリ広告では、一般的にCookieを使ったトラッキングができず、ターゲティングの精度が低くなりがちだと言われています。そのため効果的にターゲット顧客にリーチできない、または投資効果を正しく測定できない、という課題を抱えているようです。
松尾:
そうですね、30~40代ではPCを併用しているためトラッキングが可能なケースが多いのですが、20代はアプリに費やしている時間が非常に多いです。そのため、20代をターゲットとして施策を行う場合は、アプリ面でリーチもトラッキングもできないことの影響度が非常に高くなります。結果として、広告主は成果が見えにくいアプリに予算を投下しない、一方でユーザーはどんどんアプリへ移行していく、という悪循環に陥っていると思います。
