『この世界の片隅に』片渕監督、『シン・ゴジラ』樋口監督が特別対談<eAT2017 in KANAZAWA Powered by TOHOKUSHINSHAレポート>

東北新社が石川県金沢市にて、最新テクノロジーにより映像とクリエイティブを進化させていく未来型のプロジェクト「eAT2017 in KANAZAWA Powered by TOHOKUSHINSHA」を1月27日、28日に行った。初日には、映画『この世界の片隅に』の片渕須直監督と、『シン・ゴジラ』の樋口真嗣監督の基調講演を開催。クリエイティブディレクターのPOOL小西利行氏をモデレーターに、高い評価を集めている2人の映画監督が製作の裏側を語った。

樋口監督が『この世界の片隅に』を見た感想

左から小西利行氏、片渕須直氏、樋口真嗣氏。

小西:

樋口監督が『この世界の片隅に』を見た直後に、「この映画は絶対に見た方がいい!」って、いろんな人に言っていましたね。

樋口:

はい、初日に娘と二子玉川の映画館に行きました。なぜ初日に行ったのかと言うと、「動員に貢献しなきゃ」って思ったからです。俺の中で片渕さんは「神」と呼んでも差し支えないほどの存在。『魔女の宅急便』の演出を担当されているときから注目していました。

小西:

映画をご覧になった感想は?

樋口:

ここまで徹底するのかと驚くほどの情報の積み重ねと、余計なことを一切していないっていうことですね。普通、演出で盛り上げようとすると、「すけべっちゃうところ」が絶対に出てくると思うんですよね。

小西:

「すけべっちゃう」、いい言葉ですね。すけべってない方がいい?

樋口:

なるべく正直な方がいいのではないかと思います。『シン・ゴジラ』でも、「すけべろう」という気持ちを排除していました。

小西:

『シン・ゴジラ』もネット上で話題になりましたし、『この世界の片隅に』はクラウドファンディングで応援されて完成しました。ネットと映画の関係が再構築されている感じがするんですけど、いかがですか。

片渕:

そうですね。多くの映画は初日の動員がその後の興行を決定するんですね。前作の『マイマイ新子と千年の魔法』は初日に人が全然来なかったんですよ。それでもツイッターを使って告知をしていると、最終日には席が9割埋まってきて。その経験から、お客さんにこちらから、ちゃんと伝える努力をしないといけないと学びました。

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