博報堂アイ・スタジオは、クライアントが抱えるビジネス課題を解決するための「統合デジタルマーケティングプロデュース」に加え、Webやプロダクトなど多様なアウトプットによる「デジタルコミュニケーション創造」にも力を入れている。その成果の一つに、昨年12月に博報堂が販売を開始したプロダクト「Pechat」がある。
左から、博報堂 monom コピーライター/プロダクトデザイナー 小野直紀さん、博報堂アイ・スタジオ コミュニケーション・デザイン・センター アートディレクター 柳太漢さん。
子ども時代の原風景をプロダクトに
Pechatはぬいぐるみに付けるボタン型スピーカーで、スマートフォンの専用アプリを操作するとスピーカーから声が出る仕組みだ。子どもにとっては、まるでぬいぐるみがおしゃべりしているように感じるアイテムで、親子がぬいぐるみを通して心を通わせるという「新しい形のコミュニケーションの実現」を目的につくられている。
「子どもの頃、親がぬいぐるみを使って、ぐずる僕をあやしてくれたような原風景。それを現在の技術でアップデートしたプロダクトが、Pechatです」と、プロジェクトチーム発起人である博報堂 monom コピーライター/プロダクトデザイナー 小野直紀さんは話す。
モノ×テクノロジーで新たな生活文化と市場の創造を目指す社内チーム「monom」で、コンシューマー向けプロダクトの開発を進めていた小野さんは、2015年3月に米国オースティンで開催 された SXSW(South by Southwest)に参加した。
そこで、博報堂アイ・スタジオのクリエイティブディレクター 望月重太朗さんやアートディレクター 柳太漢さんと再会したことが、目標の実現に向けて大きな契機になった。
ぬいぐるみにつけるボタン型スピーカー「Pechat」。
半歩先にある、手に入る未来をつくる
日本に帰国後、プロジェクトがスタート。メンバー全員でさまざまなアイデアを持ち寄った。その中の一つが、教育の延長上に出てきたのが、“親子で使える”という考え方だ。