VS構造で語られることの多かった「デジタル」と「アナログ」。デジタルシフトが叫ばれてきたが、デジタルだけに閉じた施策に行き詰まり感を抱き始めるマーケターも増えてきた。データドリブンでありながら、デジタルとアナログを組み合わせたマーケティングのあり方とは? 日本郵便の鈴木睦夫氏主催のもと、デジタルチャネルとDMを組み合わせた効果を検証する「フルチャネルコミュニケーションプロジェクト」で実施された2社の実証実験を通して見えてきた可能性に迫る。
上段左から、マルケト バイスプレジデント マーケティング本部長 小関 貴志氏/博報堂プロダクツ ダイレクトマーケティング事業本部 大木真吾氏。下段左から、Sansan マーケティング部 エバンジェリスト 石野真吾氏/日本郵便 郵便・物流商品サービス企画部 担当部長 鈴木睦夫氏/富士フイルム e戦略推進室 藤堂正寛氏。
「対立」ではなく「共存」
石野:
法人向けの名刺管理サービス「Sansan」のマーケティングを担っています。ここ数年で事業が急成長したことに伴い、人も扱うデータ量もどんどん増えてリードデータベースが重複したり、さまざまなデータがそれぞれのチームや部門で管理されていたので、手作業が増えて管理工数がかさんでしまっていることが問題に。
それらを解決するツールとして、1年ほど前にMAツールを導入し、マーケティングプロセスの再構築を図りました。その結果、受注件数は半年間で倍になりました。
小関:
MAによりデータベースが統合されたことで、それまでの倍ほどのアプローチ策を走らせることに成功し、最終的に受注件数を増加させたのだと思います。
石野:
一方で「オンラインnotアクティブ層」が顕在化し、オンラインだけでマーケティングをしても、アプローチができないお客さんがいるという課題が浮き彫りになりました。
この層へ有効なアプローチ方法がないか探していたとき、日本郵便さんの「フルチャネルコミュニケーションプロジェクト」のお話をいただいて、オンラインで反応をしない層に対して、DMというものが効くのかどうか、実験をしてみました。