どうすればIoTが発展するか
先日、セミナーでIoT機器を開発しているエンジニアが言っていたことですが、まだまだハードウェアやクラウドサービスのコストが高いことで、リターンが想定されやすい大きなスケールの事業にしか適用しにくいようです。
それはスマートシティや医療、不動産、自動車のような大きなインフラで、効率化によって多くのメリットが複合的に得られそうなものという意味でしょうか。
スポーツのようなパーソナルなデータはApple Watchも含めてGPSを活用したものはありますが、ニューバランスがデザインで活用しているような細かなセンサーまでは個人使用できるほど普及していません。
ただスポーツのような趣味やレジャーでも、個人がお金をかけることが想像できるようなモータースポーツやウィンタースポーツ、ゴルフ、マリンスポーツ、登山、自転車、釣りのような分野では、機器自体が高額なことも多いので、センサー技術とクラウドを取り入れることでパフォーマンス向上に役立つのであれば、個人でも導入可能でしょう。
またサッカーのようなビジネスとして成立している大きなスポーツイベントのようなものは、チームのパフォーマンス向上のためのデータ収集に、実際に取り組まれているようです。スポーツに限らず多くの観客が一度に集まるようなイベントでは、プレイヤーのデータよりも、観客の動きを分析することで、トイレや食事などを最適化されるこの方にベネフィットがありそうです。
今後、IoTに期待すること
障壁自体がコストや手間、またはデータ収集や分析ができないとメリットが出ないなどのリスクがあるからこそ、IoTのパートナー企業はそのリスクを軽減するようなソリューションが求められるでしょう。ウェアラブルの市場がどうなるかも、このようなエコシステムの設計が成否を握るかもしれません。
例えば、複数の企業がプラットフォームを共有することでコスト負担が低くなり、付加価値を高めることができるなども考えられます。また、データの収集や分析まではクラウド上で行い、実行はスタンドアロンのミニコンでやるような実践的な解決策も必要かと思います。
実際にそのようなIoTの例を聞きました。医療機器の睡眠時の呼吸のモニタリングは、データ収集まではクラウドで行い、そのアクチュエーションはミニコンでやるようなモデルがあるようです。
またセンサーの小型化や軽量化以外にも、AIによる機械学習やディープラーニングの進化によって、人間のリソース能力を超えた知的な生産性を向上することも期待されます。大量の仮説の大規模なシミュレーションによる探索や、IoTの効用の拡大はAIの発展とは切り離せないと思います。
今後、IoTの発展のためには、コストをかけずにメリットを最大化させるためのプラットフォームの構築は欠かせず、それはすでにインフラでそこまでをデザインしたスマートシティのような大規模なプロジェクトにおいて最もやり易いと思います。センサー技術に限らず、フィンテックによる信用情報との連携があれば、お金をやり取りすることなく、さまざまなサービスを受けられる街が実現できると思います。
その際にニューバランスのようなブランドは、物理的な製品の枠を超えたブランドエクスペリエンスを提供できるようにならないと生き残れないでしょう。これは、仮にニューバランスのダッシュボタンを押すと、いったいどんな体験が顧客に提供されるのかということを本質的に問う必要があることと同じはずです。
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