今年「ブレーン広告グランプリ」で見事グランプリに選ばれた、ゼクシィのテレビCM。「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」。男女問わず強い共感を集めたこのコピーはどのように生まれたのか、その制作の舞台裏を取材した。
(本記事は、ブレーン1月号の特集記事の一部を再編集したものです)
「結婚情報誌なのに…」
コピーで強い共感を集めグランプリ
「風船」篇
「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」というコピーが心に残った(30代女性)/時代性を捉える言葉の上に女性の強い意志を重ねることで、結婚する素晴らしさを真に伝えるコピーになっていると思ったから(20代女性・制作会社)/結婚情報誌を商品にしているのに、キャッチコピーで「結婚しなくても幸せになれる時代」と言い切った潔さがカッコイイ(30代女性・人材情報サービス)/結婚の価値を上げたキャッチコピーだと思います(20代女性・広告会社)/現代の社会環境を踏まえながら、誰も傷つけず、ゼクシィのターゲットである結婚を控えた人に強く響くメッセージになっている。そのバランス感覚が他になく秀でているし、メッセージで社会に広くアプローチする旧来型広告の強さも改めて思い知らされました(30代男性・広告会社)/共感性が、ものすごく高いコピー。時代の切り取り方と、ウィットな切り口。久々に言葉の力が圧倒的なCMを見た(30代男性・クリエイティブエージェンシー)/昔の価値と過去の価値観の両方を否定していないから(20代男性・大学生)(月刊ブレーン1月号アンケートより抜粋)
月刊ブレーンが実施した「ブレーン広告グランプリ」のアンケートでは、コピーに強く共感する声が寄せられた。同性婚や未婚率・離婚率の上昇など、結婚を取り巻く社会状況が複雑化している中で、「結婚しない人のことを否定せずに、結婚の良さを伝えるCMになっている」と賞賛された。『ゼクシィ』編集長 平山彩子さんと、博報堂 クリエイティブディレクター 小島曜さんに、このCMが生まれるまでを話してもらった。
Interview:
「世の中と目線を合わせてから語りだそうと思った」(小島さん)
「結婚の持つ本来のパワーを、ストレートに伝えるCMにしたかった」(平山編集長)
「ふだん結婚を意識していない人にも、結婚したいと思えるCMを」。『ゼクシィ』平山編集長からのオリエンは明快だったと、博報堂 クリエイティブディレクター 小島曜さんは言う。だが、結婚について意識していない人が触れる最近の結婚に関わるニュースにはハッピーなものは少ない。離婚率の上昇、結婚しない人の増加、さらに結婚式を挙げない「ナシ婚」のカップルも増えている⋯。そんな中、世の中とゼクシィの接点をもう1回作るには、「結婚しない人が増えているけれど」という地点から喋りだした方がいいと小島さんは考えたという。
平山さんも、「結婚というと、最近はしかめっ面で話すような小難しい話になりがちです」と話す。「しかし本来、誰かと一緒に生きていくと決めるというのは、とても貴重なこと。だからそう決めた時のエネルギーはすごく強い。その事実を、ストレートに伝えたいと考えていました」。
