審査員を務めるワーキンググループの主催で、10月11日にトークセッション「良いコミュニケーション、ってなんだろう。」が開かれました。電通の佐藤雄介さん、TBWA\HAKUHODOの梅田哲矢さん、写真家の佐藤麻優子さん、CINRAの竹中万季さんという、各方面で活躍する4名の方々のトークをお届けします。
これからはVtuber?4名の若手がいま注目している事例
—早速ですが、みなさんが最近特に気になったコミュニケーション事例は何ですか?
竹中:さまざまなメディアでも取り上げられていましたが、アメリカのカミソリブランド「Billie」の事例が気になりました。日本では、女性はムダ毛がないほうが美しいというコミュニケーションがほとんどだと思うんです。しかしこのCMでは「体毛は誰にでもあるし、人間はみんな毛が生えている」というのを前提に打ち出していて、剃っても剃らなくてもいいから、剃りたいときはBillieを使ってね、というコミュニケーションをしているんです。
このように、いろんな選択肢が与えられているというのは、弊社の運営する『She is』(女性の多様な生き方を探るウェブマガジン)のコミュニティを作る上でも考えていることです。私たちが大事にしている感覚にすごくフィットしている広告として挙げました。
梅田:第5回(若手大賞)の大賞となった「注文を間違える料理店」の事例に近い考え方ですよね。「まず受け入れる」ということを前提にして考えていますから。このようなトンマナも、もしかしたら日本でも機能するかもしれませんよね。「日本ではどうしてできないんだろう」というバイアスのようなところからみんな入りますけど、実行に移していないだけで、実際は意外にやってみたらできることは多いかもしれません。
佐藤(雄):僕は企業がVtuber(バーチャルYouTuber:YouTuberとして活動する、3DCGなどで作られた架空のキャラクター)を作っている事例を挙げました。これから広告活用で20代の若手が多く関与していく分野だと感じています。まだ手間暇がかかる割に広告的な評価は受けにくいジャンルかもしれませんが、だからこそこういった場所(若手大賞)で褒めてあげたいなと。
Vtuberというのは、基本的には自社・自前でメディアをつくるという概念なので、本気で取り組もうとするならそれをしっかり育てていく必要性があります。注文を間違える料理店にも言えますが、「継続は力なり」の最たるものだと思います。継続させればさせるほど、ちゃんとメディアになって力を発揮していく。育てるのが大変なのがわかるので、そのチャレンジを褒めたいと思いました。きっとこれからほぼすべての企業キャラクターが、動画コンテンツ化していくと思うので、そういった意味でも注目しています。
佐藤(麻):私も同じくVtuberを選んでいました。特にお気に入りなのは「鳩羽つぐ」ちゃんです。バーチャル映像は撮り方やアングルも興味深いものが多く、ビジュアル面でもとても参考になります。広告とは違うかもしれませんが、鳩羽つぐちゃんのように情報が少ないものが発信され作り手の手元を離れたあとに、みんなの間でオートマティックに盛り上がっていくのが面白く、新しいアプローチの仕方としてはあるのではと感じています。
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