企画は思考停止で腐り始める
企画を面白くする唯一の方法は「考え続ける」ということです。思考を停止した時点でそれ以上にはならないのですから当たり前の話です。
たとえば面白いアイデアが浮かぶ。そこでやめる。思考停止です。打合せでプレゼンしようとなる。そこでやめる。思考停止です。プレゼンで案が決まる。そこでやめる。思考停止です。撮影が進む。ただクライアントになりかわりチェックするだけになる。思考停止です。編集する。いいのができたと思う。思考停止です。
褒められるのがいちばん危険なんです。人間ですから嬉しくて目の前にあるものを疑わなくなる。疑わないからブラッシュアップすべき点が見えなくなる。どこかいつも「疑う」というのが大事です。誰のこともちょっと信じてない。そんな状態が最高です。人間的には難がありますけど。
考え続けるということはどういうことなのか。
知り合いにめちゃくちゃ天邪鬼なひとがいるのですが、彼は誰かが「いい」と言ったら、必ず「よくない」と言うのです。とくに根拠も確信もないくせに。とにかくすごい逆張りをするので一緒に仕事をしていると嫌になる瞬間もあるのですが、彼がいるとその仕事は必ず他とは違うレベルのものになる。みんなが右に行こうとしていると「左だ」と言うし、前に行こうとしていると「後ろだ」と言う。そう言われると、言われた人は考え続けるんです。だから企画が動き続ける。
企画というものは生ものだから、動きが止まった瞬間から腐り始めます。みんなが同じ方向を見ていると安心して、そこで止まってしまう。だから、「もっといいのがあるんじゃない?」「これじゃ伝わらないんじゃない?」「おかしくない?」と疑い続けていくことがすごく大事なんです。
つまり考え続けるということは、簡単に言えば「疑う」ということなんです。
そして何よりもまず、自分を疑った方がいい。誰だって、自分はすごく面白い企画を思いつくと思いたいですよね。自分が面白いと思ったものをみんなが面白いと言ってくれるのが一番の幸せだとは思うけれど、それは10あるプロセスのうちのステップ1にすぎません。一番大切なことは、できあがったものが人を喜ばせているか、世の中を動かせているかということ。だから、そこに到達するまでのプロセスはズタボロでもいいんです。真っ先に自分をとことんいじめましょう。
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