こんにちは、電通CDCの嶋野です。
普段はクリエーティブとPRをベースにした仕事をしています。
今年でカンヌは4回目。
毎年、カンヌの会場で受賞作のリールを見るのが大好きで、滞在期間中は地下に引きこもってモニターの前で過ごしていました。
今回は、主要10部門の色付き受賞作(部門内外の被り無しで500-600作程度)を網羅した中から、特に気になったトレンドを1つご紹介します。
2017年からの進化 “ビジョン・アクティビスト (Vision Activist)”
最初にお断りすると、1年単位でトレンドが大きく変わることはありません。
ただ、大本命だったNIKE“Dream Crazy”※が「思ったほどの影響力を示せなかった」という視点で全体を見直すことで、今年の進化が少し見えてきます。
※昨年最も議論を起こしたキャンペーン。国歌斉唱で起立しなかった元NFLのコリン・キャパニック選手を起用し、信じる道を進む勇気を応援する、まさに“Just do it”な広告。
一時代を築いた「ソーシャルグッド」はその企業である必然性(Brand Relevancy)が薄いことがありました。
2017年のカンヌを席巻した「Fearless Girl」は問題提起に止まる施策でした。
そんな中、今年の受賞作は、まず企業や団体ならではの強い意思(Vision)があり、さらに賛同する人を増やし・巻き込むような仕組み (Activation)まで設計することで大きな成果をあげました。まさに彼らこそ「ビジョン・アクティビスト」と呼ぶのにふさわしい存在です。
いくつか事例をごらんください。
A : IKEA “ThisAbles”
※Health&Wellness部門グランプリなど、多数受賞
IKEAが障がいを持った方向けに3Dデータで提供した、家具のカスタマイズツール。ランプのボタンを肘で押せたり、ソファの高さを上げたり、それぞれの個性に合わせて、IKEAの家具を自由に調整できるようになりました。
B : The Tampon Book
※PR部門グランプリなど、多数受賞
ドイツにおいては日用消費財の税率は7%なのに、タンポンは高級材と同じく19%であるという事実に着目し、タンポンを書籍の中にいれて販売(本の税率は7%で済む)。ロビイング型の施策。

