コラム

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

第6回 第5章「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット

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【前回】「第5回 第4章 「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」ディレクターズカット」はこちら

恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』の著者、小霜和也氏が本書では収録しきれなかった内容をお届けするコラム。本書と合わせてお楽しみください。

「恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。」
著:小霜和也
発行:宣伝会議
詳細・購入はこちらからご覧ください(宣伝会議オンラインはこちら)(Amazonはこちら

こんにちは、小霜です。

広告主側から見ていると、エージェンシーの立ち位置の危うさをひしひしと感じます。率直なところ、ワンストップでいろいろやってくれて便利、ぐらいにしか思われてません。

その理由は本著で述べたとおり。なので「このマージンは高すぎじゃね?」と、コスパ感覚がある閾値を超えてしまうと一気にプロダクション直、とか内制化、となってしまいます。今後その傾向はどんどん強まるはずです。

本著を読んでの様々な反響が寄せられていますが、この1月から社長に就任された電通デジタルの川上さんが「得意先が読む前に社員に読ませないと!」と仰ってました。

僕はこれまでエージェンシーから散々お世話になってきましたから、エージェンシーが衰退していくのを望んではいません。それで出版イベントの場を提供して、川上さんから今後のエージェンシーはどうあるべきかの示唆を話してもらうといいかなと思いました。そこに僕が意地悪くツッコむ構成。2月14日です。

第5章では、企業の存続にとって欠かせない、時代変化に対応するためのCI作業、Mission、Vision、Valuesについて解説しました。飾りではなくそれらを正しくWorkさせるためにどう考えるべきかを。

削除した箇所は、

P.222
もしあなたが10年前はミスチルのファンで今は米津玄師のファンだったとします。今ミスチルのチケットにいくら払う?と聞いたら「1万円なら」と。米津のチケットは?と聞くと「1万6千円出してもいい」と。じゃあ10年後、米津のチケットにいくら払うと思う?と聞くと「1万6千円」と答えるんですね。10年前は違うアーチストのファンだったくせに、10年後は変わらず今のアーチストのファンであり続けていると信じてる。そういう調査があるんです。人は今の自分が進化のピークで、これ以上変わることはないと思いがちってことです。そして、企業もそうなのです。

これけっこう好きな話なんですけど、「ややこしい」と言われるので…削除しました。

P.227
ところで、ジム・コリンズさんが提唱した「ビジョナリー・カンパニー」が経営者の中で好評を博しましたが、これとVision の関係を述べておきます。ビジョナリー・カンパニーとはどんな未来が来ようと生存できる強い企業のことで、コリンズはその条件を紐解いたのです。一般の人がイメージするすごい企業、斬新なアイデアで注目を集め、瞬く間に巨額の利益を得、といった企業は実は脆いのだと。

その中で、自分のVision を達成するためにサポートする人材を選ぶ経営者はイマイチと言ってます。永続的に成長する組織を作るためには、まず誰をバスに乗せるかがふさわしいかを決めた後に行き先(= Vision)を決めるのだと。確かに十数年の長期目線に立てばその方が企業は盤石でしょう。このように、組織の基盤がしっかりしていればVision はその時その時でコロコロ変えたっていいんです。もちろん行き当たりばったりじゃなく必然性は大事ですよ?でもMission は変えない。先述したようにVision は自分で設定するものだけど、Mission は天から授かるものだからです。

Vision周りは本当にいろんな人がいろんなコンセプトを提唱しています。一つ一つ解説を加えているとキリがないことに気づき、削除しました。

P.232
ここで戦国大名のMVVを考えてみましょう。Missionはどの大名家もさほど変わらないはずで、「日本を戦のない世の中にする」とか。そういうMissionを掲げないと優れた武将は仕官してこないし、これがあれば村を焼く時も「日本を平和にするためなのだ許せ…!」とか自分に言い聞かせて罪悪感を減らしたりできます。大名家によって大きく異なるのが、そこに到達するまでの独自の道筋であるVisionです。織田家は岐阜を手に入れるや「天下布武」というVisionを宣言しました。

「俺らは武力で日本を平らげるで」ってことですね。二国を収めた国力、尾張商圏の経済力、京に近い立地的優位性、といったものを背景にするとその道筋が一番近いと考えたのでしょう。これが足利家ならVisionは「大名連合」ってことになります。国力で織田とかには適わないので、将軍家の権威を活かすしかないと。じゃあ天下布武を成し遂げるために必要な、織田家ならではのValuesは何か。

まずは、能力主義。サルでも何でもできるヤツは出世させるし、血縁に頼るようなヤツは追放するぞと。次に、優れた武器。鉄砲いるよねと。それも大量に。そういったことを支える資金もいるよねと。足りない?じゃあ楽市楽座やるか。寺が怒る?寺なんか焼いてしまってヨシ!と。これがいわばMission、Vision、Valuesの関係となるわけです。そしてこれは人事評価にもダイレクトにつながります。

従業員=武将は天下布武を成し遂げるために足軽を大量に雇わなければいけないし、武器も確保しなければならず、それをちゃんとやれば百姓も城持ち大名になれるし、怠れば譜代も追放されるわけです。足利家のValuesは権威とか、朝廷や大名達とのパイプなどになりますから、武将に求めるスキルは連歌とか接待に役立ちそうな教養、といったものになるわけです。

この話は経営者に非常にウケがいいです。「わかりやすい!」と。ただ「小霜さんの比喩って歴史モノばっかでよくわかんない」と若い人に言われるのも癪なので削除しました。

P.245
PSVitaは発売数年経っても日本の販売数は約100万台で留まっていました。その大きな理由としてEffortfullだったということがあった気がします。買ってからの設定がものすごく難解だったんです。かたやその時期に登場したKindleは箱を空けるとマニュアルもなくすぐに使え、おまけに「小霜和也さん、ありがとうございます」なんて僕の名前も設定済みなんですよ。

買ってすぐの商品体験を「オンボーディング」と言いますが、このあたり、Amazonに限らず米国企業はずっと進んでいて日本企業は後れを取っている…というか気づいていません。日本製品のマニュアルと米国製品のマニュアルを比べてください。Appleにしろ何にしろ、米国製品のマニュアルは「えっ…」と一瞬絶望感に襲われるほどペラッペラです。ちなみにPSVitaは僕がCDを任されて1年で200~300万台ぐらいまで伸ばしたと思いますが、Effortlessという考えが商品開発時にあればもっと行けたんじゃないかなあと。

本著を入稿してから、あれ、オンボーディングのこと説明してないぞ、どこかで書いたはずなんだけど…と謎だったのですが、ここだと今気づきました。

次回は「第6章」です!

小霜和也氏×電通デジタル川上 宗一社長 トークイベント開催決定!

『恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』の刊行を記念し、著者の小霜和也さんと、電通デジタル代表取締役社長に就任された川上宗一社長の対談を行います。

経営者目線で今必要とされるマーケティングの全体像を俯瞰した本書ですが、広告会社の方にとっては、「クライアントが読む前に、読んでおかないとマズい1冊」でもあります!

経営者のマーケティングに対する意識の変化に応じて、
今の時代におけるエージェンシーの役割はどうなっていくのか?
エージェンシーがどのように経営者と対峙していけばいいのか?
などについて、語り合うこの対談。

広告会社の皆様、貴重な機会をお見逃しなく。

開催概要

※定員に達したため、申込を締め切りました。

日時:
2020年2月14日(金) 19:00~21:00(15分前に開場)
 
会場:
ガーデンシティ渋谷 ホールB
東京都渋谷区渋谷2-22-3 渋谷東口ビル(渋谷駅より徒歩3分)
 
参加条件:
『恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。』をご持参いただいた方。
当日販売もしております。
Kindle版ご利用の方は、受付にて画面をお見せください。
 
定員:
80名
 
申込み方法:
こちらよりお申込みください。
・席数に限りがあるため、事前のご予約をお勧めします。
・定員になり次第、受付締切となります。


恐れながら社長マーケティングの本当の話をします。

<目次>

はじめに


第一章 社長、まずはマーケティング部をなくしましょう
・マーケティング=価値の創造
・マーケティングの4P
・総力戦の時代
・マーケティング部を宣伝部に戻す
・貯めるべきもの3つ「直感力、共有知見、データ」
・忖度のない体質がマーケティング体質


第二章 「名物宣伝部長」はどこいった
・管轄外の責任を負わされる宣伝部長
・広告業界の構造的問題
・宣伝部とエージェンシーの深まる溝
・CMOに「4P」全部預けられるのか?
・社長と部長はパートナー


第三章 御社は「ミドル・ファネル」作れますか?
・ミドル・ファネルから作る
・外してならないファネルだけが外れてる
・トップ、ミドルのクリエイティブを寸断させない
・社長は「トータルCPA」を見る
・部門「間」がますます重要に


第四章 やっぱし事件は現場で起きている
・制作現場の実状
・戦略、メディア設計、クリエイティブの順に
・現場の忖度で得体の知れないものができあがる
・社長が「おかしい」と感じたら、何か起きている


第五章 「Vision」の本当の話をします
・時代変動の中で自分は何者か再点検
・Visionを間違うと正しいマーケティングはできない
・Visionの話(つづき)
・Values
・オレのCI


第六章 テクノロジー変わるマーケティング思想変えるビジネスモデル変える
・新たなマーケティング思想、カスタマーサクセス
・競合より顧客の動向を見て成功する
・広告という神話
・顧客を手放さないサブスクリプション
・商品は優れていても、ビジネスモデルで負けていないか
・テクノロジーが新しいビジネスモデルを閃かせる


第七章 不買運動が起きてます!
・SDGsはイケてる
・誰かを変えるCSR、自分を変えるCSV
・ESG投資で変わる企業の戦い方
・Belief Driven
・次世代の動き
・SDGsはこれからの参加資格
・IRで商品Promotionの土壌をつくる


第八章 社長、さっき言いかけたことですが


おわりに

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