※本記事は株式会社マスメディアンの『advanced by massmedian』に掲載された記事を表示しています。
「五体不満足」をきっかけに環境が激変
乙武さんは早稲田大学在学中の1998年、著書「五体不満足」がベストセラーとなり一躍有名に。「それまで普通の大学生活を送っていたけれど、本を出したことで一気に環境が激変した。メディアにも出させていただくようになって戸惑いはあった」と振り返ります。
当時の世間から見た、障がい者のイメージの多くは、“可哀想な人”“不幸な人”“それでも健気に生きている人たち”といったものだったそう。そんななか、発刊した著書の表紙には、「その真逆というか、あっけらかんとした明るく能天気な青年が、満面の笑みで表紙に写っている。“両手、両足がないのに笑顔!?”みたいな。そのインパクトが、みなさんのなかではいい意味での裏切り、意外性が一番だったんじゃないか」と分析します。
「五体不満足」を発刊した当時、障がい者はかなり不便だったそうですが、「物理的なバリアフリーはこの20年で大きく進んだ」と実感を語ります。そして、「だからこそ次のステップは、LGBTQや発達障がいといった、目で見てわかりにくい“違い”、そういう人たちに対する認識や配慮をどうやって進めていけばいいのかが、今の時代の課題になってきている」と言います。
車いすで放浪の旅へ
2016年、乙武さんは、自身が招いた不祥事によって謹慎生活を余儀なくされます。およそ1年間、引きこもりのような生活を送っていたそうですが、「もう1年同じような生活をするのは、人生を無駄にしているんじゃないか」との思いから一念発起。東京の住まいを引き払い、海外へ放浪の旅に出ました。
37カ国もの国々をめぐるなか、「1年間ずっと海外を回っていると、旅行などでは感じられなかったこと、見えてこなかったものが、(長期間生活することで)見られて、すごく良かった」と振り返ります。
なかでも印象に残っているのは、3カ月滞在したというイギリス・ロンドン。訪英前は、“東京よりもバリアフリーが進んでいる”とイメージしていたそうですが、実際に現地を訪れてみると、
