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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

デスメタル映画音楽のオファーが来ても、デスメタルは「聞きゃしなかった」(ゲスト:ヒャダイン)【後編】

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ヒャダインさんの曲に「展開が多い」わけ

中村:ヒャダインさんの曲だと、ももいろクローバーZの「行くぜっ!怪盗少女」がめちゃくちゃ印象強いんですけど、アイドルの曲づくりを始められた時は、結構すぐフィットしたんですか?

ヒャダイン:そうですね。ニコニコ動画にアップしてた時に、自分は元々そんなにアイドル音楽とかアイドルっぽい曲とか全然聞いてこなかったし好きでもなかったんですけど、ゲーム音楽とかネット民が好きなビートとかにすごく親しんでいたので「なるほど、ここをこうやったらウケるんだ」っていう肌感覚を覚えていました。2010年代はアイドルソングいっぱい書いたんですけど、結構フィットはしましたね。

権八:フィットも何も……。フィットして大ヒット。

ヒャダイン:いや~ありがとうございます。

権八:僕の中では、それこそ小室さんもそうですけど、つんくさんとかアイドル音楽とかに割と造詣が深い印象があるんですけど、そうでもないんですか?

ヒャダイン:めちゃくちゃ好きですよ。なんですけど、自分がつくるってなったらもうちょっとカッコいい音楽とかやりたかったなーなんてって思ってたんですけど、「やりたいと自分に合ってるのは違うんだな」っていうことが分かりましたね。僕はドンシャカ、楽しい方がいいかなっていう感じです。

中村:どこかのインタビューで、ヒャダインさんの曲は「展開が多い」っておっしゃていましたよね。そういう詰め込むのが元々割とお好きなんですか?それとも、アーティストやアイドルに合わせてやってるんですか?

ヒャダイン:ニコ動でやっていた時の話なんですけど、ニコ動ってみんなだいたい2分ぐらいで飽きてくるんですよ。みんなコメントは初速でわーっと書き込むんですけど、2分ぐらいで「明らかにコメント減ってんな~」っていうのを感じる。だから展開を多くしたら飽きられないし、逆に2分ぐらいで新しい展開をつくったらまたうわ~ってコメントが来るんです。そういうので「なるほど、ここらへんで一発何か仕込んどいたほうがいいんだな」っていうのは学びましたね。

僕は自分の曲が展開多いとは思ってなくて、ただ「皆さんに楽しんでいただけたらいいな」っていう思いでやってるだけですね。

権八:めちゃくちゃ面白いですね、今の話。そうやって自分のスタイルを確立していったっていう。

中村:ちょっと前にテレビプロデューサーさんの話で、「ひな壇理論」っていうのがあって。バラエティ番組で、昔に比べて視聴者が求めてるネタのフリからオチまでの尺がどんどん短くなってるから、ひな壇にいっぱい芸人をつけてその尺をとにかく短くするっていう。それでだんだん世の中のニーズに最適化していく、みたいな話があったんですけど、それとちょっと似たところがあるなって思いましたね。

ヒャダイン:そうですね、同じ考え方だと思います。しかももう2020年代になったら、YouTuberたちのYouTube動画の方がテレビより観られると思います。彼らはやっぱり10分15分の尺が多いですよね。長いものにもうみんな耐えられない時代になってきてるんだと思いますね。

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