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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

コミュ障だった少年がラジオの帝王に、「スレスレのところを来ただけ」(ゲスト:吉田照美)【中編】

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【前回コラム】「“ラジオ界のレジェンド”が降臨 若者を熱狂させた超人気番組の舞台裏(ゲスト:吉田照美)【前編】」はこちら

今週のゲストは、先週に引き続き、タレント・フリーアナウンサーの吉田照美さん。今回は、物静かだった少年時代から人気パーソナリティに至った過程をうかがいました。

今回の登場人物紹介

吉田照美(タレント・フリーアナウンサー)。

※本記事は4月19日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。

ネガティブだった幼少期、アナウンサーになるなんて考えてなかった

中村:吉田さん、実は学生時代は対人恐怖症だったんですよね。

吉田:ひとりっ子で、“対人”に慣れていませんでしたからね。家に僕しかいないわけだから、親は可愛がってくれたんだと思います。だから、人との接し方はすごい下手だし、ひとりでいることも全然苦痛じゃない。漫画を読んでいる静かな少年。

親父がたまたま小さい製紙会社に勤めていて、そこに紙の原料に再生するための漫画雑誌とかがたくさんあったんです。会社の大事なものですけど、子供が喜ぶと思ってこっそり持って帰ってきてね。当時は貸本ブームの頃で、少年雑誌なんかも持ってきてくれたりしたんで、漢字や言葉は幼稚園の頃から読めるようになってました。

それでずっときていて、大学受験に失敗して1年浪人した経験が一番デカかったですね。暮らし向きはそんなに裕福な家庭じゃないですから、1浪までだったんです。2浪はたぶん許されないだろうなって思って。あれは瀬戸際で、軽いノイローゼっぽくなりました。「落ちたらどうしようかな」みたいな。「男って将来は社会的にしっかりしないと、生きていけないんだろうな」っていう漠然とした恐怖感をずっと抱えていたんで。だから「これでどうなっちゃうんだろう、俺」みたいな。

予備校生って学生証もないし、不安定な存在じゃないですか。それで、自分としては、実力もあまり感じられないし。来年受かる保証もない。あるとき幻聴が聞こえたこともあって、「俺だめになるな」って思ったこともありましたね。そもそも人と話すことは苦手だったんですけど、その1浪時代にますます高じて。近所のおばさんが3人そろっているところは避けて家に帰るとか。俺のことをなんか噂しているんじゃないかなっていう被害妄想なんだけど……。

権八:今じゃ想像できない。

吉田:そういう感じ。暗く、何でもマイナス、ネガティブに考える人間だったんですよね。だから、運よく大学に受かったことで救われたんですけど、そのときに「この考え方を直さないといけないな」と思いました。そのときはアナウンサーなんて全然考えていなくて、受かったところが経済学科だったんで、漠然と将来は銀行とかに行くんじゃないかなと思っていました。でも社会人、それから銀行マンになったときでも、普通に喋れるようにはなりたいということで、大学のアナウンス研究会に入ったんです。

そしたら、また衝撃的なことがあって。喋れないから4月にサークルに入ったんですけど、夏休みに夏合宿があるんですね。100人くらいの大所帯のサークルで、そのサークルのなかでは1年生と2年生は生徒で、3年生が先生みたいな立場。そこで、アナウンスコンテストをやるんですよ。

1年生と2年生はそれに参加しないといけない義務があるんです。それが困りましたね。ニュース原稿みたいなのを渡されて、ひとりずつ前に出て。下手でもそれはそれで済むんですけど、その後に2分か3分間のフリートークをやれと。その場でテーマが発表されて、僕は一言もしゃべれなかったもん。

一同:あ~。

吉田:普通だったら、「もういい。君、ギブアップで席戻っていいよ」とかさ。途中でそう言ってくれればいいんだけど、さらし者ですからね。もう公開処刑みたいな感じで、3分間がつらくて……。せっかく入ったのに全然うまくなんないし、このままだとダメだなと思って、みんなに隠れて恵比寿にあるアナウンサーアカデミーなんていうところに、こっそり行ったんですよ。そうすると、自己紹介が地獄なんですよ。この番組でも自己紹介やらされましたけど。

権八:ハハハ。すみません。

吉田:そういったアナウンサー専門学校で“喋る”というと、何か読むか、フリートークで自分のことをどれだけうまく聞いてもらえるかっていう訓練ばっかりなんですね。後で大事なことだなって気づくんだけど、それをやって、翌年アナウンスコンテストに臨んでからは少しは喋れるようになりました。

次ページ 「好きなラジオの声を真似することから始めた」へ続く