東京コピーライターズクラブは8月、2020年度のTCC新人賞を決定した。本年度は365人の応募者から、最高新人賞1人、新人賞19人が選ばれた。ブックオフコーポレーションの企業CM他で最高新人賞を受賞した松井一紘さん(ティー・ワイ・オー)にその制作の背景を聞いた。
※本記事は2020年11月号『ブレーン』にも掲載されます。あわせて、TCC賞2020最終審査委員による講評も掲載されます。
松井一紘(まつい・かずひろ)
1987年山口県下関市生まれ。ロックスターを夢見てイギリスへ留学し、帰国後に早稲田大学文化構想学部入学。2012年ティー・ワイ・オー新卒入社。現在クリエイティブ部門SPARKに所属。受賞歴に2019年ACCフィルム部門グランプリ、OCC賞など。
ミュージシャン志望からコピーライターに
山口県出身で、高校卒業後はイギリスに留学してミュージシャンを目指していました。帰国後、日本の大学に入ってから広告の仕事に興味を持ったのは、「ものづくりに携わりたい」という当時の思いが原動力になっています。あと留学先でお世話になった日本人の方が元CMプロデューサーで、「吉田大八さんと(同じ会社の)同期だった」と話していたんです。それがティー・ワイ・オー(TYO)のことだと気づいたのは、就職活動を始めてからでした。
活字の世界に興味があったので、当初からコピーライター志望でした。でもTYOにはプロダクションマネージャーとして入社したんです。当時は職種の違いをわかっていなくて(笑)、制作会社に入ればいつかコピーの仕事もできるのでは?と思っていました。だから入社して半年間は研修も兼ねて、制作の仕事をしていました。
そんな折、広告主との直案件を増やそうと発足した社内のチームに声をかけてもらって。念願のコピーライターとして働けることになったんです。とはいえ、まだ新しいチームだし自分も駆け出しなので実績ゼロからのスタート。競合プレゼンに勝つことに注力する日々が5年ほど続きました。
