Wunderman Thompson Intelligenceが毎年公開するレポート「The Future 100」は、その年の年間予測をまとめ、消費者を惹きつけうるトレンドを提示するものだ。新型コロナ禍を経た2020年12月、2020年1月に発表された「The Future 100 2020」のフォローアップとして「The Future 100 2.0.20」が発表された。ここではそのうち、特に広告界の「New Normal」を示唆する事例をダイジェストで紹介する(本レポートの日本語版は宣伝会議オンラインにて販売中)。
消費者の新たな評価基準
感染拡大、死者の急増、経済問題、政治問題──世界中の人々がこれまでになく厳しい状況に陥ったコロナ禍で、人々はこれまで以上に「Good News(良いニュース)」を求めた。米国では、2020年4月の第2週に「良いニュース」のGoogle検索が急増し、過去5年で最高値を記録したという。翻ってここ日本でも、同じ期間の「明るいニュース」の検索数は、過去5年で断トツの最高値。暗いニュースに疲弊した人々が、ポジティブな情報を求めているさまが顕著になった。
この状況で、Nikeはオールスターアスリートとのコラボレーションによるキャンペーンを発表。「now more than ever, we are one team.(今まで以上に、私たちは1つのチームだ。)」というメッセージを掲げて、家で時間を過ごすことを奨励した。日本国内でも、自社製品の訴求はさておき、ポジティブなメッセージを発信した企業は枚挙にいとまがない。
— Nike (@Nike) March 21, 2020
広告・コミュニケーションからさらに、商品開発に手を伸ばした企業も多数ある。LVMHは3月中旬に、香水の生産ラインをフランスの保健当局向けの消毒剤の製造に切り替え、電子機器メーカーのFoxconnは2月上旬にサージカルマスクの生産を開始し、General Motorsは3月に米国政府向けの人工呼吸器の生産計画に協力した。
