文字の視覚表現を軸にしたグラフィックデザインの国際賞「東京TDC賞2021」。本年度は3750作品(国内:1947作品、海外1803作品)の中から、グランプリ1点、TDC賞ほか11点が選出された。その受賞作品とノミネート作品122作品を展示する「TDC展」が、4月1日から東京・銀座 ギンザ・グラフィックギャラリーで始まる。
本年度のグランプリは、松本弦人氏が編集、装丁、造本を手がけた書籍『日本国憲法』(TAC出版)。条文そのものを構成の骨格とし、一つひとつの条文に戦後の美術作品を選出、それを見開きで見せている。デザインは、縦組和文と横組英文の混在に加え、単語の横にはルビとともに注釈が付く仕様になっている。
受賞にあたり、松本氏は次のようにコメントしている。
「今年の賞は「コロナ禍での受賞」です。
人々が、社会/生活/身体を、これまで持ちえなかった視座から見つめなおし、社会/生活/身体が、国家と密接であるという当たり前のことを強く意識させられました。
憲法条文と憲法施行下の戦後日本美術を素材にデザイン/構成を主軸に編集された『日本国憲法』は、表立っては国家と表現を扱っていますが、そもそも条文と掲載作品にはそこに添わざるを得ない生活が扱われています。