データとクリエイティビティはせめぎ合いながら進化する — 安藤元博×嶋浩一郎×堀宏史座談会

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データの「読み解き方」と「使う仕組み」がせめぎ合いながら進化する

安藤:先ほどの話をまとめると、データ活用におけるひとつ目のクリエイティビティは、データの読み解き方のクリエイティブ。誰もが同じデータにアクセスできるようになると、一見するとつまらないと思えたり、みんな同じ発想になってしまうと感じる人もいるかもしれない。しかしそうではありません。そのデータをどう読み解くか、どう見立てるかといったクリエイティビティがある。

2つ目のクリエイティビティは、「このデータはこう読めるのではないか」という話が出てきたときに、そこから誰もが使っていなかった新しいデータの装置をもう1度つくるということ。すると新しいデータがまた出てきて誰でも使えるようになる。するとそれに対して新しい解釈やクリエイティビティが出てきて、さらに次の装置が発明されていく。

データそのものとデータの読み方がせめぎ合いながらイノベーションをしていくということです。僕がしている仕事もそうだし、実は生活総研がやっている仕事もそうだと思います。常に新しい読み解き方もやっているが、データの取り方も新しくしている。「デジノグラフィ」という新しい手段を作ることによって、今まで生活総研がやってきた、データへの読み解き方に対するもうひとつのルートをつくった、こういうことだと思います。

:どういうデータを使うか、どのデータ同士をつなげるのか、何をデータにするのか。まさに後者のクリエイティビティに今後大きな可能性があると思っています。「デジノグラフィ」のチームにもさまざまなデータホルダーから話が来ていて、何ができるかまさに議論を重ねているところです。

変わったところで言うと、配電事業者が保有する電力データがスマートメーターの普及で取れるようになりましたよね。電力の使用は実は人の生活を表していると考えれば、ここから人の意識を読み取り、マーケティングに活かせるんじゃないか。これはデータのつなげ方のクリエイティビティの話だと思います。

安藤:データにどう光を当て、どんな装置をつくってデータ化していくか。それ自体が生活総研の仕事でもあるし、「AaaS」ではそれをメディアビジネスでやっているのだと思う。

:データの読み解き方とデータの取り方。2つの発明を繰り返しながら「AaaS」も「デジノグラフィ」も進化し続けるということですね。

安藤:そうです。「デジノグラフィ」の生活者分析と、「AaaS」の広告メディアビジネス変革の話は、今はまだ違うアプローチに見えていますが、必ずそこはひとつになっていく。それを早い段階で提供しなければと思っています。

安藤元博(あんどう・もとひろ)

株式会社博報堂DYホールディングス/株式会社博報堂/株式会社博報堂DYメディアパートナーズ 常務執行役員。デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社 取締役執行役員。1988年博報堂入社。以来、数多くの企業の事業/商品開発、統合コミュニケーション開発、グローバルブランディングに従事。現在、博報堂DYグループの“生活者データ・ドリブン”マーケティングの中核推進組織を率いるとともに、広告メディアビジネスの次世代型モデルAaaS(Advertising as a Service)の推進責任者をつとめる。受賞歴:ACC(グランプリ)、Asian Marketing Effctivenss(Best Integrated Marketing Campaign)他。著書『マーケティング立国ニッポンへ-デジタル時代、再生のカギはCMO機能』『デジタルで変わる 広報コミュニケーション基礎』(ともに共著)他。

 

嶋浩一郎(しま・こういちろう)

93年博報堂入社。コーポレートコミュニケーション局で企業の情報戦略にたずさわる。01年朝日新聞社出向、『seven』編集ディレクター。02~04年博報堂刊『広告』編集長。04年本屋大賞立ち上げに参画。06年既存の手法に縛られない課題解決を目指しクリエイティブエージェンシー博報堂ケトルを設立。主な仕事、資生堂、KDDI、J-WAVEなど。2012年東京下北沢にブックコーディネーターの内沼晋太郎と本屋B&B開業。

 

堀 宏史(ほり・ひろし)

博報堂 博報堂生活総合研究所 所長代理。1993年博報堂入社。得意先のデジタルマーケティングに関わる業務に従事。2019年より現職。カンヌクリエイティブフェスティバル、スパイクスアジア、アドフェスト、ロンドン国際広告祭、文化庁メディア芸術祭グランプリなど受賞歴多数。

 

「デジノグラフィ」発刊記念トークイベント情報

・4月7日(水)20時~22時 (19時30分開場)本屋B&B(来店・配信)
堀宏史 × 酒井崇匡 × 安藤元博 × 嶋浩一郎
「データとクリエイティビティの新しい関係」
お申し込みはこちらから

・4月13日(火)19時~20時30分 丸善ジュンク堂(ZOOMによる配信 ※イベント終了後YouTubeにて1週間のアーカイブ配信あり)
メルカリジャパンCEO 田面木宏尚氏 × 博報堂生活総研 酒井崇匡氏 対談
「ビッグデータで解き明かす、新しい消費文化」
お申し込みはこちらから

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