コラム

世界をなめらかにするUXライティング

エントリー「フォーム」にあらわれる企業「姿勢」

share

【前回コラム】「チャットボット開発にUXライター」はこちら

サービス利用前後のUXライティング

新しいサービスの利用に際して、エントリーフォームに入力を行う最中に違和感を覚えることがあります。たとえば「電話番号」を求められたあとの段階で「携帯電話番号」を聞かれるケースです。かつてはそれぞれの家庭に固定電話があり、やがて固定電話とは別に個人で携帯電話を持つようになりました。しかし今や固定電話を個人で保有している人はとても少ないように思います。多くの人にとっては電話=携帯電話なので最初に「携帯電話番号」の入力欄を設け、その後に「固定電話」の欄を設ける、もしくは「電話」と「携帯電話」を分ける必要はないかもしれません。

また、パスワードの入力欄もつまずくケースが度々あります。パスワードを考え「4ケタ」で入力してみると、「8ケタ」の入力を求められ、「8ケタ」の番号を入力すると、「英字と数字を混ぜてください」との指摘。そして、英字と数字を混ぜて8ケタで入力すると「数字と英字の小文字・大文字を混ぜてください」との注意。

サービスに触れる前にもかかわらず、この時点で何度も入力の直しを求められるという体験は決して良いものではありません。「数字と英字の小文字・大文字の8文字の入力を求める」旨を表記したり、入力欄に「例:Aa123456」のような形で一目見てもわかるような「参考」があれば良いのかもしれません。

男女区別はもう過去のもの

性別の入力欄も気になることが多々あります。「男女」の2択で求められるケースが圧倒的に占めていますが、性別は2択だけではないですし、「未回答」という項目があったほうが性別にかかわらず誰に対しても入力しやすいフォームと言えるのではないでしょうか。

Yahoo! JAPANがIDの取得時に「男性」「女性」以外に、「その他」「回答しない」を選択できるようにするという発表がありました。これからはこういった取り組みがはっきり見えるようになったほうが、ステークホルダー全員にとっての良い結果につながるのではと考えています。入力フォームひとつとっても、その企業がどのような姿勢のもとで運営しているかがわかります。

このように、UXにおけるライティングというのはデザインや仕組みが決まった段階で言葉遣い(だけ)を考えるというものではなく、全体の設計を含めた上で「そのサービスや運営企業がどのように見られるか」というところまで踏み込んでいかなれければならないかもしれません。

次ページ 「去り際こそうつくしく」へ続く

Follow Us