8月12日、東京・渋谷区にある七号通り公園(東京都渋谷区幡ヶ谷2-53-5)に新しい公共トイレ「Hi Toilet」が設置された。
真っ白な球形が目を引くこの公共トイレ、入る時から出る時までどこにも触れずに、すべての行動を音声で操作できる「手をつかわないトイレ」である。ボイスコマンド式の音声認識技術を採用しており、ドアの開閉から便器の操作だけでなく、音楽をかけたりすることも可能。トイレでありながら、クリーンかつ楽しい時間を楽しめる場となっている。
この公共トイレは、日本財団が進める『THE TOKYO TOILET』プロジェクトの一環として設置されたもの。本プロジェクトでは、渋谷区内17カ所のトイレを性別、年齢、障害を問わず誰もが快適に利用できる公共トイレに生まれ変わらせ、多様性を受け入れる社会の実現を目指している。現在、渋谷区の全面協力のもと、国内外の16人のクリエイターが参画。多くの公共トイレが「暗い」「汚い」「臭い」「怖い」といった理由で利用者が限られてしまっていることをうけ、誰もが快適に過ごすことができる新しい社会のあり方をそれぞれ個性豊かなデザイン・クリエイティブの力で提案している。
そして、本プロジェクト12カ所目の設置となる『七号通り公園トイレ』を企画・デザインしたのは、クリエイティブディレクター 佐藤カズーさんとTBWAHAKUHODO Disruption Labチームだ。
「日本財団さんからお声がけいただき、参加しました。当初はなぜ建築家でなく、我々のようなクリエイティブディレクターに?と疑問は持ちましたが、建築物であるから建築家という考えこそが多様性にかけるのではという考えに至り、自分たちの持ち味を生かすようなトイレをデザインしようと参加を決めました」(佐藤さん)
依頼を受けてデザインをするにあたり、佐藤さんが着目したのが、欧米のとあるトイレに関しての調査結果だった。
「60%がトイレのレバーを足で踏んで流し、50%がトイレットペーパーでドアを開き、40%がお尻でドアを閉め、30%が可能な限り肘を使い手の接触を避ける。このインサイトをデザインに生かそう。スタート地点はそこでした。そこから3年がかりでリサーチ&プランニングを行い、最終的に我々がたどり着いたのは、トイレにおけるすべての行動を音声で行うボイスコマンド式のトイレ、『Hi Toilet』でした」

