HubSpot Japanは2006年に米・ボストンで創業した、SaaS企業のHubSpot, Inc.の非英語圏で初となるオフィスとして開設。6年目を迎え、より日本企業のビジネス慣習や社内オペレーションに合わせた提案をしていきたいとの考えから、今回のカントリーマネージャーの就任に至った。HubSpot, Inc.が米国外の市場において、カントリーマネージャーを置くのは日本が初めてのことだという。廣田達樹氏、シニアマーケティングディレクターの伊佐裕也氏に今後の日本市場での戦略を聞いた。
――廣田さんがHubSpot Japanに入社を決めた理由とは。
廣田
:私は大学卒業後、旅行会社に入り、当時は団体旅行の営業を担当していましたが、ITの世界に興味を持ち、その後はDELL、HP、Google、VMwareとテクノロジー企業でキャリアを重ねてきました。直近では、シンガポールに拠点を置く、BPOサービスを提供する企業に所属。これまでの仕事を通じて営業、営業戦略を中心にマーケティング、そしてオペレーションの部分も経験してきました。HubSpotへの入社を決めたのは、HubSpotが提供する「統合型CRMプラットフォーム」は、マーケティング、営業、カスタマーサービス、オペレーションとあらゆる部門に関わるソリューションであり、まさに自分自身のこれまでの経験が生きると考えたからです。
――日本市場に進出して5年。上陸当時は比較的、マーケティング寄りの発信が、現在はセールス寄りの発信が多いように感じています。今後、日本市場においてどのようなメッセージを発信していこうとお考えですか。
廣田
:当社が提供する統合型CRMプラットフォームは、顧客データ100万件までは無料で利用が可能な「HubSpot CRM」を核に、マーケティング、セールス、カスタマーサービス、CMSの機能を内包したものです。
上陸当時は、中でも「Marketing Hub」の導入企業が多かったことから、日本においてはマーケティング領域の発信が多かったと思います。それが昨今は、日本でもインサイドセールス部門を立ち上げる企業が増えるなど、セールス領域の注目が高まっていることから、コロナ禍で変革が必要とされているセールス部門の発信が増えてきました。
しかしマーケティング寄りかセールス寄りか、という議論ではなく、私はHubSpotを「最高の顧客体験を提供するCRMプラットフォーム」と定義しています。CRMにより一元化されたデータベースをもとにマーケティング、セールス、カスタマーサービスと顧客接点を持つすべての部門が、統合した体験を提供するために貢献するのが当社の役割だと考えています。そこで、今後も「『統合型CRMプラットフォーム』としてのHubSpot」として打ち出していきたいと考えています。
また私たち、HubSpot Japanでも一貫した顧客体験の実現を目指しています。米国本社では、ヤミニ・ランガンが最高顧客責任者(CCO)に就任し、マーケティング、営業、カスタマーサービスチームを率いていて成功を収めました。ここでの成果が評価され、2021年9月に共同創業者から経営を手渡される形で最高経営責任者(CEO)に就任しています。日本でもこれと同様の体制を実現したいと考えています。
