いまの時代に求められる「ブランド」づくり

片山義丈氏(ダイキン工業 総務部広告宣伝グループ長)

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鈴木健氏(ニューバランス ジャパン マーケティング部長)

 

『実務家ブランド論』が9月14日に上梓した片山義丈氏。ダイキン工業での宣伝やコミュニケーションの仕事を通じて、アップルでも、ナイキでもない、”平凡な“企業でブランドをつくるとはどういうことなのか……を、自身の経験をもとにまとめました。今回、本書を読んでいただいたニューバランス ジャパン マーケティング部長の鈴木健氏と、日々の仕事の中で感じる課題や展望について語ってもらった。

具体を知る実務家が概念を論ずる難しさ

鈴木

 これまで「ブランド論」と言えば、どこか大上段に構えた“教科書的”なものが多い印象がありました。片山さんが書いた『実務家ブランド論』は、“実務家”の立場から体験談を織り込みながら書かれていたのが新鮮で、説得力があるなと感じました。

それに

アドタイ連載時

から、片山さんの正直な書きっぷりが大好きでした。理解した事実を述べるのではなく、実際の経緯を踏まえて「なぜ、それが大切なのか?」という理由を教えてくださるところが実務家らしくてしっくりきたし、最大の共感ポイントだったんです。

鈴木 健氏

1991年広告会社の営業としてスタートし、ナイキジャパンで7年のマーケティング経験を経て2009年にニューバランス ジャパンに入社し現在に至る。ブランドマネジメントおよびPRや広告をはじめデジタル、イベント、店頭を含むマーケティングコミュニケーション全般を担当。

 片山

 ありがとうございます。長い間、たくさんの失敗をしてきたからこそ、いまの実務家の方が遠回りしないで済むように、ブランドづくりの教科書をつくりたいと思いました。

鈴木

 「ブランド」という言葉は抽象度が高いがゆえに誤解されやすいところがあります。概念と具体例を行ったり来たりしながら説明したり、カタカナ用語としての「ブランド」を他の言葉に置き換えてみても通じるのでは?と問いかけたりと、めんどうなことを示しながらブランドの呪いを解いていかれる姿勢が素晴らしかったです。

片山さんは謙遜されますが、周りから見ればダイキンさんは上場もしておられる大企業。ですから、コーポレートブランディングの事例を出して説明することもできたでしょうに。それをあえて「片山煎餅屋」という架空の店のたとえを出すことで、企業の規模や業態などで線引きされることの少ないケーススタディに仕上げていました。

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