パーパスドリブンな事業展開で、コーヒーを通じて発信していきたいこと
聞き手:エスエムオー代表取締役/ブランディングコンサルタント
齊藤三希子
“おいしいコーヒーをより多くの人に届ける”をミッションとしているブルーボトルコーヒー。洗練された空間、美味しい一杯のコーヒーで顧客体験をデザインする背景にはどのようなストーリーがあるのでしょうか。代表の伊藤諒氏に『パーパス・ブランディング』著者 である齊藤三希子さんがお話をうかがいました。
「僕らの大事にしていること」を言語化するときが来た
齊藤
:ブルーボトルさんは、パーパスフルに志高く事業展開なさっているので、インタビューのご縁をいただけて大変嬉しく思います。まず、伊藤さんがブルーボトルに入社されたきっかけを教えてください。
伊藤
:社会人の最初のキャリアは商社にいて、会社の派遣でアメリカにMBA留学をさせてもらいました。当時、自分のライフワークの大きなキーワードとして「スポーツビジネス」「ダイバーシティ」があって、この2つを念頭に2年間過ごそうと思っていました。
齊藤
:その2つを軸とされたのは?
伊藤
:自分の生い立ちになりますが、父親の仕事の関係でエジプト、スイス、アメリカ、日本に住んだ経験から、人種や文化、考え方も違っていても友達になれるじゃん、という想いがありました。
でも、世の中を見ると紛争がある。高校のときは、生徒のほとんどが有色人種の公立学校に留学して、アジア人は自分1人で、コミュニティに入るのに苦労したんです。その時、バスケットボールを通じてその壁を取り払いました。その原体験から、チームを作って、ゴールを定めて、メンバーの間の壁を取り払いながら、新しい価値を一緒に生むことをやっていきたいと思うようになりました。
就職活動を始めるときに、そうやって多様なメンバーを繋いでいくのを一番自由にできることこそビジネスかなと思って。でもどんなビジネスがいいのかはわからないから、まずは全部やっている総合商社にいこうかなと(笑)。そこでは、金属資源のビジネスを主にやらせてもらって、スケールが大きくて非常にやりがいがありました。ただ、自分のやりたいライフワークとのマッチが難しく、もっとパッションを持てるフィールドにいきたいと思うようになりました。その中でスポーツを通じて、いろんな人を本質でつないでいくカルチャーを広げていくことを考えるようになり、MBA留学中はスポーツ関係のキャリアばかりを模索していました。
