33年越しに訴求 JR東海、シンデレラ・エクスプレスの系譜

2022年はビジネスパーソン

JR東海は1月16日、「会うって、特別だったんだ。」をメインコピーに、テレビCMとOOH広告の出稿を始めた。1988年の「クリスマス・エクスプレス」以来、33年ぶりに俳優の深津絵里さんを起用。当時のキャッチフレーズ「会うのが、いちばん。」の流れを汲み、単なる移動手段ではなく、人と人をつなぐ存在として新幹線を描く。広告会社は電通、制作会社はギークピクチュアズ。

16日にはドラマ『DCU』(TBS系)で、60秒の長尺パターンをオンエア。同ドラマの平均視聴率は、個人で10.3%、世帯では16.8%を計測(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。前期同枠の『日本沈没』の個人9.7%、世帯15.8%(同)を超えるスタートとなった。

同ドラマに合わせたことについて、クリエイティブ・ディレクターを務めた電通の野崎賢一氏は「今回のテーマを伝えるためには、長尺でしっかり、かつ、できるだけ同じ瞬間に見る人が多い状態にした方が、伝わると考えた」と狙いを話す。

JR東海のテレビCM「会うって、特別だったんだ。」篇(60秒版)

翌17日からは東京エリアのほか、静岡、名古屋、大阪と、東海道新幹線が走るエリアで30秒スポットを放送している。新宿、名古屋、梅田など東名阪の主要5駅では交通広告も掲出。同日から2月3日にかけ、段階的に露出する。

「JR東海ホームタウンエクスプレス・クリスマス’88」〈黒須美彦【テレビCM’80─’90】新しい方法論を競って開発した時代,『ブレーン』2019年4月号〉

CMは、過去の「クリスマス・エクスプレス」や「シンデレラ・エクスプレス」と根底を共にしており、「人と人をつなぐ」ものとしての新幹線がテーマ。一方、ストーリーでは、恋人ではなく、ビジネスパーソンに焦点を置いた。これまで当然視されていた対面での議論が、いまや特別な機会になっていることを描き、人が会うことの価値について、改めて問うような内容とした。

 

構想はコロナ禍以前から

「会うって、特別だったんだ。」篇のラストシーン。前掲(右下)の33年前のCMを彷彿とさせる

JR東海では、新型コロナウイルス感染症が拡大する以前から、「東海道新幹線の利用者の多くを占めるビジネス・パーソンの〈会う〉を応援したいという意図があったと聞いています」と話すのは、本CMのクリエイティブ・ディレクターを務めた電通の野崎賢一氏だ。

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