小嶋陽菜さんのファッションブランド「Her lip to」成功の秘訣を音部大輔氏が分析

モデルでタレントの小嶋陽菜さんが立ち上げたファッションブランド「Her lip to(ハーリップトゥー)」が好調だ。製造者がダイレクトに消費者にコミットする「Direct to Consumer(D2C)」の好例として、その取り組みと成功のポイントを解き明かすオンラインイベントが2021年12月、日本マーケティング学会の主催で開かれた。

P&Gやユニリーバ・ジャパン、資生堂などで多くのブランドやマーケティング組織を率いた音部大輔氏(クー・マーケティング・カンパニー代表取締役)と、小学館 コンテンツ事業推進センター 副編集長の下河辺さやこ氏が登壇。事前に収録した小嶋さんのインタビューをもとに、12月に発売された音部氏の著書『The Art of Marketing マーケティングの技法-パーセプションフロー・モデル全解説』で紹介したブランドマネジメントの要諦に触れながら、D2Cブランド成功のポイントについて分析した。

通販だからこそ「サプライズ」のこだわり随所に

小嶋さんはAKB48のメンバーを経て、現在は活躍の場を広げている。「Her lip to」ではクリエイティブディレクターであり、自らモデルも務める。セミナーでは、事前に収録した音部氏による小嶋さんへのインタビュー映像を公開。その内容をスタジオで振り返りつつ、「Her lip to」成功の秘密をひも解き、マーケティングの真髄に迫った。

小嶋陽菜さんに「Her lip to」のこだわりを聞く

「モデル・タレントとしてメディアに呼ばれる存在である自分が、ブランドを通じてメディアとなり、ファンと好きなものを共有できれば楽しいのでは」――。小嶋さんはブランドを立ち上げた理由についてこう述べた。小嶋さんが良いと思う商品をつくり、共感するブランドのファンに自ら発信する。「Her lip to」のユーザーは「こじはる」をブランドへの入り口としながら、小嶋さんがつくり上げた世界観を共有し、リピーターへとなっていく。

インタビューでは、消費者がブランドのファン、リピーターになる過程を、小嶋さんがいかに周到に準備し、深く考えているかについて明かされた。消費者との最初の接点となるパッケージはそのひとつ。またワンピースはオリジナルのハンガーがついてくるなど、ブランド体験で大切にしている「サプライズ」へのこだわりが随所にみられる。

「サプライズが好きなので、ファンやお客様に喜んでほしいな、これをやったら面白いんじゃないか、ということは常に考えています」(小嶋さん)。音部氏は消費者を中心としたアプローチを称賛し「Her lip to」が著名人を前面に出しただけのブランドとは一線を画していると指摘した。

組織づくりもマーケターの重要な役割

下河辺氏も小嶋さんが紹介したブランドの取り組みに驚きつつ、12月に発刊した音部氏の著書『The Art of Marketing マーケティングの技法』の内容を踏襲していると述べた。同書では、音部氏が開発したマーケティング活動の全体設計図「パーセプションフロー・モデル」の活用法について紹介しつつ、全体最適を見据えたマーケティング・マネジメントの重要性について説いている。

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