今年で25回目となる「文化庁メディア芸術祭」の受賞作品、および功労賞の受賞者が3月13日に発表となった。
本年度は、世界95の国と地域から応募された3537作品(うち海外から1660作品)の中から、部門ごとに大賞、優秀賞、ソーシャル・インパクト賞、新人賞、U-18賞を選出した。
また、日本科学未来館の球体展示に関する作品を募集したフェスティバル・プラットフォーム賞には、世界40の国と地域から応募された125作品の中から選出された。
功労賞は、塩田周三氏(ポリゴン・ピクチュアズ 代表取締役)、刀根康尚氏(サウンドアーティスト/作曲家/パフォーマンス・アーティスト)、鳥嶋和彦氏(白泉社顧問)、belne氏 (マンガ家/開志専門職大学アニメ・マンガ学部教授)に贈られた。
主な入賞作は以下の通り。受賞作品展は日本科学未来館を中心に2022年9月16日から26日にかけて開催する予定だ。
大賞
アート部門
「太陽と月の部屋」インタラクティブアート
(anno lab<代表:藤岡定>/西岡美紀/小島佳子/的場寛/堀尾寛太/新美太基/中村優一)[日本]
贈賞理由:
太陽は、東から昇って西に沈み、季節によって異なる位置を動いている。頭でわかっていても、その光がどのように動いていくかを体感することは容易ではない。本作は、太陽の光の動く軌跡をテクノロジーによって制御しながら、来館者が光の動きをさまざまな機能から直接体験できるシステムを実現している。一見シンプルであるにもかかわらず、遊び心にあふれ、結果的に、自然の時間そのものの体験をコミュニティに根ざした調査やさまざまな人々との協働によって実現した点で、審査委員から高い評価を得た。現地へ実際に行って体験することが容易ではない状況だが、コロナ禍において、オンライン化やデジタル化が浸透し日常化する一方で、身体を通した体験が問い直される時代への応答となる本作の今日的重要性は高く、今後のメディア芸術表現の幅を広げていく可能性を含め、大賞として選出した。(審査委員:田坂博子)
