1986年誕生の「アサヒ生ビール」。家庭向け缶商品の販売は93年に終了したが、飲食店での取り扱いは続いていた。2021年9月、「マルエフ」の通称通り、不死鳥の如く缶商品が復活すると3日で一時休売になるほどの人気商品となった。
人気連載「ヒットの仕掛人に聞く」では、いま話題の “ヒット商品” の 仕掛け人が開発の背景やプロモーション戦略を明かします。
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本記事は、2022年4月1日発売の『販促会議』2022年5月号 の転載記事です。
DATA
商品名:アサヒ生ビール(通称マルエフ)
実勢価格:350ml/219円前後、500ml/ 286円前後(税込)
主な販路:全国の酒類販売店、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなど
今月の仕掛人

アサヒビール
新ブランド開発部 ブランドマネージャー
渡邊 航太郎 氏
新規開発ではなく「復活」
──新商品の開発ではなく既存商品を復活させることとなった経緯は。
酒税の改正もあり、ビールカテゴリーは伸びると考えています。そこで「アサヒスーパードライ」と並ぶ柱をもう 一本立てたいという思いがありました。開発企画を検討する過程で市場動向やお客さまの意見を聞いてみると、「競争から共生へ」という言葉もあり、世の中が優しい方へ向かっているように感じました。また、コロナ禍で人と人とのリアルなつながりが薄れ、不要不急を避けるべきという風潮もあります。こうした社会に向けて、つながりやぬくもりを感じられるビールブランドを立ち上げたいと考えました。
加えて、新商品にこだわらなくてもいいのではないかと考え、様々な選択肢を模索してたどり着いたのが「アサヒ生ビール」通称マルエフです。
マルエフは一般向けの缶の販売は終了していましたが、飲食店での樽生の取り扱いは継続し、社内でも大切にされている商品でした。扱われる飲食店もこだわりのお店が中心で、一部のコアなファンに愛されてきたという歴史がありました。こうしたブランドのストーリーが今回のコンセプトに合致していると判断し、マルエフを復活させることになりました。