本書で詳述している「宣伝部DX」の本質とは何なのか。なぜいまDX化を進めるべきなのか。横山氏が解説します。
DXの本質的な要素はすべて「宣伝部」にある
本書では、企業のDX推進の中でも「宣伝部のDX化」をある意味で象徴的かつDXの集大成として位置づけています。それは「投資対効果の可視化」、「アナログ施策のプロセスのデジタル化」、「デジタル思考の人財育成」、そして「デジタルによるCX(顧客体験)の最適化」など、DXの本質的な要素をみな満たすことになるからです。
定価:1,980円(本体1,800円+税)
四六判 232ページ
ISBN978-4-88335-545-7
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そのためにも「宣伝部のDX」の第一歩をどう踏み出すかについて、いくつか記しました。まずテレビなど従来のマスメディアの指標をデジタル型に変えて到達実態を改めて認識し直すこと。これはデジタル広告が採用してきた表示回数という指標を、テレビ広告の買い付け単位が個人視聴率ベースになったことを機にテレビの指標にしようというものです。絶対数が取り入れられるとエリアを超えて合算できますし、デジタル広告との合算も可能となります。
またテレビ視聴と購買が紐づいたシングルソースデータで、デモグラではない新たな「購買期待層」をブランド独自にセグメントし、そこにターゲティングしたテレビCM投下をしようという試みも推奨しています。これによってデジタルと同じターゲティング手法をテレビにも持ち込むことができます。
アナログ思考だったテレビ広告出稿における到達実態把握やプランニングプロセスをデジタル思考にしてみる。これでも第一歩としては立派な「宣伝部のDX」なのです。
アナログ施策でも「デジタル思考」に基づいていればOK
次にCMクリエイティブに関してですが、本書ではCMの完全視聴率データを評価指標にしてみる提案もしています。それ以外にも筆者が『CMを科学する』で提唱したGAP(グロス・アテンション・ポイント)も、最も大きな変数であるクリエイティブパワーを数値化するものです。
当面はでき上がったCMを数値で評価するものですが、データが積み上がっていけば、データによるCMクリエイティブの最適化に向けた知見が獲得できると思います。勝利の方程式まではできなくても、失敗しない原則は確立できるでしょう。
