性・年齢などの「デモグラフィック属性」に基づくターゲティングのみで、本当に顧客に向き合っているといえるのか――。新刊書籍『顧客起点のマーケティングDX データでつくるブランドと生活者のユニークな関係』(3月31日発売)の著者の一人、橋本直久氏(CCCマーケティング)は問題提起します。本稿では、精緻なデータが容易に得られる時代のマーケティングのあり方について考えます。
定価:1,980円(本体1,800円+税)
四六判 232ページ
ISBN978-4-88335-545-7
詳細・購入は
から
ターゲットが“M1”と聞くとドキドキする
2000年ぐらいに社会人になって、仕事でM1とかF1って業界用語に触れると、なんとなく仕事してるなって、“ドキドキ”したのを思い出します。そして、20年たった今もよく聞くこの単語は、私にとっては全く違った“ドキドキ”を提供してくれます。
テレビ視聴率の調査分類が、なんとなく広告業界から浸透していき一般企業のプロモーションやマーケティング活動でも使われるようになったのは1990年ぐらいからだと思います。そして、30年たった今も、マーケティング活動の場で使われることがあるが、一体どこまで理解して使っているのか、気になる場面に出会い“ドキドキ”します。
M1とは、male=男性のMと、最初の15歳区切りの年齢区分20~34歳を表す調査区分ですが、日本の市場でM1という区分は、数にして1011万人*1。アラブ首長国連邦の人口が約1000万人、ヨーロッパの国土の狭い国ハンガリーやオーストリアが1000万人未満になります。ターゲットと言いながら、油断すると一国全体を狙い撃ちしているぐらいの規模感です。この粗い分類でプロモーションやマーケティングを企画することに、いつも疑問を感じています。
