「宣伝担当者が知っておきたいクリエイティブの基本」では、多様な立場、役割の人が集うクリエイティブチームをまとめ、最適なアウトプットへと導くクリエイティブ・ディレクションに必要なスキルと考えについて、事業会社、広告会社の、双方の視点から紐解きます。
POINT
「クリエイティブ・ディレクション」の3つの極意
1.オリエンで大切なのはフォーマットではない。洗いざらい生の言葉で語ること。
2.広告主の熱い心は見せた方が良く、スタッフの心にも火をつける。
3.撮影現場では、広告主も撮影される内容に執着を!

OfficeNacky
CreativeDirector/Packagedesigner/Creative調査analysis
名久井貴詞氏
味の素で38年間、日本と海外でPackageDesignと広告の企画制作の両方を担当。2017年にGlobal Brand Logotypeを米国Designerと開発。2021年退任しフリーに。JAACreative委員会委員長を務める。
広告主のCreativeDirectionその大前提となるものとは?
「ADプランナー・ディレクターの力の発揮に広告主は汗をかきましょう!」というタイトルから、よい広告をつくるには、ADプランナーを自由にすればいいのか?と思われた方もいると思います。しかし、それは大きな誤解です。むしろ、広告主は徹底的にCreativeDirectionをしてくださいという意味です。
広告に対する捉え方が、「広く告げること」を目指す広告会社と、「販売・イメージ向上のための武器・手段」と考える広告主とでは、根本的に広告に対する考え方、期待値が異なっています。
広告主が目標達成をできるか否かについて、広告会社が保証してくれるわけではありません。なぜなら広告会社の仕事のすべてが、広告主の判断の基にあるからです。
つまり、広告主は広告のことを広告会社にすべて任せるのではなく、広告に対する向き合い方が違うからこそ、深く話し合うべきですし、その中で共有点を見出しながら広告会社の機能を生かし、一緒につくり上げることが大前提にならなければなりません。
では、企画・制作プロセスに則りながらお話しします。
Planner・Designerは皆さんと同じ人間です
広告宣伝担当者・マーケターは、広告会社のプランナーなどクリエイターを特別視する傾向があるように思います。それは、多くの担当者・マーケターは学歴も含めて“クリエイティブ”という領域に縁の遠い生活を送ってきたことから、どうしても苦手意識が働きやすいのだと思います。
しかし、まったく気にする必要はありません。クリエイターも赤ちゃんを見れば、思わず笑顔になりますし、怖い目に遭えば「ビックリした」と言い、皆さんと感覚的にまったく変わることがありません。ただし課題に対してどのように伝えたら良いのか考え、表現に変えるプロだということだけです。もし、打ち合わせの場で違和感を持ったら気軽に質問してください。議論の始まりになります。